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大倉崇裕   「福家警部補の再訪」(創元推理文庫)

 倒徐法推理小説中編集。倒徐法というのは、最初に犯人視点で事件が描かれ、その後刑事などが事件を捜査し、犯人を突き止めるというスタイルの作品。

 この方法で誰もが知っている作品が「刑事コロンボ」。このスタイルの作品は、読者がすでに犯人を知っているため、追い詰めてゆく過程を刑事視点のみで描写すると、だらだらと続き、しまりが無くなり、緊迫感がでず、結構テクニックとしては難しい方法である。

 作品は「刑事コロンボ」とよく似ている。
まず、犯人がその道で功成りを遂げていて、尊敬されていたり、金満家であるところ。それに引き換え追い詰める側はコロンボもそうだが、小柄でコートもよれよれ、風采があがらない。この作品のコロンボ役の福家警部補も、女性なのだが小柄でどこからみても刑事とは思えない。しばしば身分証を忘れ、事件現場にいれてもらえないなんてことを起こす。

 そして、何よりもコロンボ同様に上手なのが、繰り返し犯人と対面して、段々犯人を追い詰め緊張感を高めてゆくところ。

 藤堂という売れっ子脚本家が、三室という役者志望の男を別荘に呼び、この三室を藤堂を監禁した誘拐犯にしたてる。最後は三室が所有していた銃を奪って、藤堂が三室を射殺。しかし正当防衛だったとして乗り切ろうとする。

 藤堂が誘拐事件の脚本を書く。そのオーディションがあり、練習をしようと三室をおびきだす。そして藤堂が被害者、三室が誘拐犯で、ドラマの練習をする。

 その練習を藤堂が隠れ録音し、しかも臨場感をだすために、三室に藤堂は手首を縄でしばらせる。

 藤堂は事務所に電話して、吹き込んであるテープで誘拐、脅迫の三室の声を聞かせる。また警察がきたとき、手首の縛られた跡を見せて、ずっと縛られていたと証言する。

 別荘に向かう途中、藤堂は三室にコンビニに立ち寄らせ、夕食を購入させる。この時、三室は夕食以外に、おまけつきののど飴を買う。のど飴についているおまけの評判が拡がっていて、三室が収集していた。そのときのど飴は不要だから、コンビニの屑籠に捨てる。

 福家警部補がその事実をつかみ、藤堂に、誘拐犯がコンビニでわざわざそんな目立つ行動をするわけがないと藤堂に詰め寄るところから福屋の攻撃が始まる。そこからのコロンボばりのしつこい波状攻撃が卓越し、読者をひきつけ離さない。

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| 古本読書日記 | 06:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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