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マーク・ハッドン  「夜中に犬に起こった奇妙な事件」(ハヤカワEPI文庫)

 この物語の特徴は15歳の発達障害の子供が書いた小説となっていること。発達障害といっても、幾つか種類はあるかもしれないが、発達障害を持つ人が、他人や社会をどう認識しているか、思考方法はどうなのかが生々しく描かれ、非常に興味深い作品になっている。

 小説は世界で大ベストセラーとなり1000万部以上売れ、数々の文学賞も獲得。映画化もされ、日本でも舞台ドラマ化された。

 物語は15歳の主人公クリストファーが、彼の家から近い家の犬が耕作用のフォークで突き刺され殺されていることに出くわし、彼はシャーロック ホームズが大好きで、ホームズのように自分も探偵になって犯人を捜す、その過程を描く。

 聞き込み、調査の過程で、父親から母親が死んだと聞かされていたが、それが嘘だということを知る。そして、犬が殺された家の夫と母が駆け落ちをしてロンドンにいること、父親は犬が殺された家の妻と再婚しようとしていること、それで父親を問い詰めると、父親が自分が犬殺を殺したと告白する。
 絶望したクリストファーは父の家をでて、ロンドンの母に会いに行く。
 物語のあらすじは以上。

しかし、小説がクリストファーが描き、しかも彼が発達障害で一般の学校には通っていなくて、特殊学級の生徒であることが際立った特徴を示す。

 このクリストファーは、まるでコンピューターのような思考、行動をする。
2の45乗の計算をさくさくする。異常な記憶力。世界のすべての国の国名と首都を知り、7507までの素数をみんな言える。

 それから、想像する風景の記憶が無い。例えば、私たちは本を読んだりしてその情景を浮かべ記憶として残す。しかし、クリストファーは見えたことしか記憶しない。それも、一枚一枚写真のように積み重ね記憶する。

 物をどこかに置き忘れてしまうということが無い。置いたときの記憶を写真のようにとりだし場所を特定するから。

 すべての思考は論理の裏付けがあって成り立つ。感情、気分での思考は無い。だから、人の表情を感じ取ることが殆どできない。

 一日のスケジュールを、それこそ分単位に細かく決め、その通りにできないと混乱する。
赤は大好き、黄色が嫌い。人に触られるのが受け入れられず、少しでも触られると、反射的に殴る。

 発達障害の人の特徴思考、それによって引き起こされる摩擦が全編にわたり繰り広げられる。その描写、表現が素晴らしく驚愕する。

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| 古本読書日記 | 06:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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