FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

坂口恭平  「TOKYO  0円ハウス 0円生活」(河出文庫)

 ホームレスというと、社会から完全に捨てられ、家庭や食堂、コンビニなどで生ゴミと出されたものをあさりそこから食べ物を獲得して生きてゆく、社会の最底辺で生活している極貧の人々というイメージがある。

 この本を読むと、そんなイメージが悉くくつがえされる。まず、彼らはホームレスではなく、彼らが自ら作った家を持ち、そこに住む。その家には、電気も通り、テレビなどの家電製品があり、簀の子が敷かれた風呂もどきもあるし、簡単な調理場もある。

 家というのは、2階建ての○○LDKという一般的なイメージがある。その規格で揃えられた家に、本来の生活に適合しているかは別に、入居し生活することになる。

 しかし、墨田川河原に創られた青いシートのかかった家は、まず、自分たちの暮らしがあり、その暮らしに適合した家を家人が手作りで創ってゆく。形、大きさもバラバラ。しかし、そこに本来の人間のありかた、理想の家があるのではないかと著者坂口は考える。

 それにしても、家の材料はどのようにして集めるのだろうか。

まずは、大きなビニールシート。これは花火大会鑑賞や場所取りのために敷かれたビニールシートが、花火大会が終わるとそのまま放置されるのが結構あるのだそうだ。それを拝借。

 電源は、ガソリンスタンドで交換された蓄電式バッテリーをもらってくる。廃棄されるバッテリーにはまだ電気が残存している。家庭用電気は100Vだが、自動車用バッテリーは12V。これでも家電製品は問題なく稼働する。

 材木や釘などの基礎材は、工事現場に行き、廃材になった材料をもらってくる。
大切なことは、バッテリーも廃材も黙って持ってくるのではなく、ちゃんと交渉して入手すること。それが、次につながる。

  そして、自分の暮らしにあった家をこしらえてゆく。

中には、捨てられた太陽光発電パネルを取り付けられた家がある。住人は太陽の動きに応じて、パネルの向きをかえ、めいっぱい発電能力を高めようとする。通常のパネルは、固定して取り付けられていてこんな芸当はできない。

 食費など生活費用はどうするか。彼らは金を稼いで生活している。その意味では0円生活というタイトルは間違っている。

 大きな収入源はアルミ缶収集販売である。アルミ缶は以前は70数円/KGだったが最近は126円/KGに業者買取価格が上がっている。

 最近はアルミ缶収集箱が、回収日の前日から置かれている。だから、未明に収集場を訪ね、缶を回収する。また、マンションなどの掃除人と話しをして、優先的に空き缶をまわしてもらう。

 やみくもに歩き回っても、たいした量は回収できない。大量に収集するためには、こうした努力がいる。これで6万―7万円月に金を稼ぐ。

 ホームレスの人が、役所の保護支援課に斡旋され、アパートに住む場所を変えると、殆どまたホームレスに戻る人はいないそうだ。だから、全員がホームレス生活を楽しんでいるわけではないと思うが、この作品は、確かに想像していたホームレス生活のイメージを覆す。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 07:15 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT