FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

朝井リョウ    「世にも奇妙な君物語」(講談社文庫)

 ちょっとしたミステリー ホラーの要素も含み、最後に想像を超えたドンデン返しがある短編集。第3話の「立て!金次郎」が良かった。

 主人公の金山考次郎は幼稚園の保育士をしている。年長組の担任であり学年主任である須永先生が金山にきつくあたる。

 金山のクラスに小寺学人君という園児がいる。声が小さく、引っ込み思案で気が弱い。

須永先生は金山を叱る。「お遊戯会でどうして学人君を主役にしなかったのか。」と。金山はとても学人には主役などできない。学人だってそんなことしたくない。無理にやらせることはないと応酬する。

 しかし須永先生は、園の行事は、子供のためにするのではない。観に来る親のためにするものだと。だから、主役、目立つことは、園児に平等にさせないと、親からきついクレームが来ると。

 これで秋の運動会に目立つ役をさせないと、園には対応できないほどのクレームが来る。そうなると、金山の立場は無くなるし、親たちのクレームにより担任をはずさねばならなくなると。

 須永の机をみると、エクセルでX軸に年の主要行事。Y軸に園児の名前。どういう仕掛けになっているのかわからないが、園児の名前をクリックすると、誰がそれぞれの行事で主役を務めるのか自動で飛ぶようになっている。

 須永先生はここまでしないとだめだと金山に詰め寄る。

そして運動会がやってくる。肝心の学人は足のケガをして出場ができない。でも、金山には秘策があった。当日、いつもきつい目でみる学人の母親や他の親たちがやけに金山に対し愛想がいい。金山を大声で持ち上げる。

 学人は本が好きだった。読書をいつもしていた。それで、たくさんの言葉を持っていた。
金山が担当しているチューリップ組の園児のかけっこが始まる。そこで金山は、司会の保育士のマイクをとりあげ、学人に渡す。その学人の一レース目が終わってのアナウンス。

 「一レース目は、風を突っ切るような、そんなスピード感がありました。みんなの頑張りによって巻き起こった風が、ここまで届いてくるようです。」

 もう園児の母親たちは金山に対し絶賛の嵐。金山は有頂天。須永にどうだ見たかと胸を張る。

 運動会の前日。園児の母親たちが集まっている。みんなが見ているエクセルには、X軸に主要行事。Y軸に保育士の名前。名前をクリックすると、金山は運動会では徹底的に持ち上げるという場所に飛ぶ。一方須永は、徹底的に貶める場所に飛んでいた。

 このブラックユーモアいいね。金山が須永に勝利したところで物語が終わらず、母親たちの作戦が書かれているところがひねりがあり上手い。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 06:36 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT