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宮部みゆき    「希望荘」(文春文庫)

 大財閥の会長の娘と結婚した主人公杉村。その娘と離婚し失職。そこで東京北区に私立探偵事務所を開設。その杉村が挑むミステリー連作中編集。

 本のタイトルになっている「希望荘」も面白かったが、圧倒的に面白かったのは「砂男」。

手打ちそば処の「伊織」は山梨県桑田町の県道沿いにある。東京から帰郷してきた巻田夫妻が2人で切り盛りしている。味も、雰囲気も素晴らしく繁盛している。

 巻田夫婦は東京の会社で知り合い、会社を辞め妻典子の故郷に夫広樹とともに帰り「伊織」を始めた。
 夫婦仲は良く、更に夫広樹は懸命にそば打ちをする真面目な性格。それを妻典子も支えていた。

 ところがある晩、典子が倒れ、救急車で病院に搬送される。そのとき広樹は不在。典子によると「夫の広樹は女を作り、失踪した。」とのこと。

 広樹は、中学2年のとき家が焼け、母と妹を亡くす。父は離婚していていなかった。家族をみんな無くしていた。その火事は広樹が家に火をつけることで発生したのではと火災時疑われた。

広樹は結婚前にそのことを告白。典子はそれでも広樹を愛し、人柄を信頼していたので、家族の反対を押し切り結婚する。
 その後2人に子供ができるが、その子供を産むか産まないかで2人に亀裂が走る。そしてとどのつまり広樹は「俺は人殺しだ。人殺しに子供はいらない。」と叫び、2人は離婚することを決意する。

 しかし、田舎で離婚となると、典子に非があるように世間で言われる。これを一方的に広樹に非があるようにさせねばならない。

 さらに不思議なことに主人公杉村が広樹を調べると、広樹は中学生から大問題児で、入学はしたけど、学校には来ず、卒業写真も無いまま卒業。それから、パチンコ店員キャバクラの呼び込みなどをして底辺のような暮らしをしていた。

 全く、典子が知り合って結婚したやさしい広樹とは違う。いったい夫広樹は誰なのか。人殺しをしたというのはどういうことなのか。

 この物語は、戸籍を互いを消したいという人同士の間にたち、戸籍を消し、新たな戸籍をつくる闇サービスがあることを教えてくれる。

 ただ、車の免許やパスポートは写真が貼付されているため、戸籍を作り替えても、違法が露見される可能性が強い。
 免許やパスポートを所持していない人が、戸籍を変えても、問題が無いということになる

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| 古本読書日記 | 05:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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