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高村薫    「四人組がいた。」(文春文庫)

 市町村合併で完全に取り残された山奥の寒村。そこの郵便局兼集会所にやってくる元村長、元助役、郵便局長、キクばあさんが巻き起こす騒動を強烈なユーモアで描く連作小説集。

 完全にノックアウトされたのが「四人組 村史を語る」。

その昔は、村はキャベツ村といわれ、暮らしはキャベツを栽培することでなしていた。しかし、キャベツは価格が安い。それで、売値がキャベツの10倍もする西洋野菜ケールを耕作地の半分を使い栽培することになった。

 この決定をした村議会。キャベツなんかは、トンカツの付け合わせか漬物になるか、形が全く無くなる餃子の中身になるくらいとキャベツをみんなでけなす。

 その夜、ワッサ、ワッサと怒り狂ったキャベツが畝から飛び出し、体に一杯のアオムシをつけて行進をしだした。

 村中の数万、数十万のキャベツが、旧バス道で合流し、川の流れのようになって、村の山の頂を目指す。その頂上がキャベツのピラミッドのようになる。

 そこでの表現がおったまげる。

「彼らは天空に向かって呪うように叫び続けていた。我々への感謝を忘れた人間どもに復讐を!我々をトンカツの付け合わせとしてしか見ていない人間に復讐を!餃子だのお好み焼きの、原形をとどめないまでに切り刻んで我々を切り刻んで食いつぶす人間どもに復讐を!我々をニワトリや豚のエサにし、畑の肥やしにする人間どもに復讐を!そして彼らのシュプレヒコールはやがて轟轟たる大合唱に変わった。
 立て万国のキャベツよ!今ぞ日は近し!目覚めよ我が同胞!暁はきぬ!いざ戦わん!
いざ奮い立て!ああ、キャベツ、キャベツ、キャベツ!」

 この突き抜けた表現。完全にわたしはノックアウトされた。

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| 古本読書日記 | 06:15 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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