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有栖川有栖     「幻坂」(角川文庫)

大阪は近代以前は「大坂」と呼ばれ坂の多い街といわれた。大坂は蓮如上人が坂が名所としておさかと呼んだところから大阪となったそうだ。

 その中でも、天王寺の上町台地にある生玉寺町と台地の西麓に広がる下寺町をつなぐ7つの坂が最もたくさんの史跡があり「天王寺七坂」として有名である。浪速の小説家、織田作之助が描き、谷崎潤一郎が「春琴抄」で扱っている。

 有栖川はこの七坂を題材として、7編の短編集に仕上げている。

 有栖川は論理を際立たせるミステリー作家で、文章はストレートでどちらかというとかわいている。
 ところが、この作品では、しっとりと重く、余情を残す文章で作品を作り上げている。有栖川もこんな情感のある文章を創れるのだと少し驚いた。

 しかし、物語の内容が平凡。いくら華麗な文章で包んでも、こんな薄い内容では、白ける。

「愛染坂」。
主人公の作家、青柳慧はミステリー作家で3作目で大きな賞をとったのだが、それから躓いた。全くアイデアが浮かばなくなり、4作目が書けない。

 悩みの中愛染坂を歩いていると、久石美咲という女性にファンだと声をかけられる。そして自分も小説家を目指していると。

 この美咲と文学教室の講演で再び出会い、そして2人は恋に陥り一緒に住む。しかし関係は8が月間で破綻する。

 美咲の小説が賞をとり、美人作家として爆発的に売れだす。その間全く青柳は書けない。流行作家とダメ作家の同居生活。青柳は卑下し、鬱屈の毎日とても持たない。
 だから、2人は別れる。

ここまでは、作家夫婦の苦労、苦悩が描かれ面白いのだが、別れた美咲が自殺する。それがたった一行。え!どうして?
 それは無いと思う。たった一行なんて。どんなに叙情を尽くしても、これには唖然。

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| 古本読書日記 | 06:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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