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柚月裕子    「ウツボカズラの甘い息」(幻冬舎文庫)

 少し前に、頼まれて、いくつかの会社の有価証券報告書を調べる機会があった。
驚いたのは、化粧品会社の原価の低さだった。売上高の四分の一、これで類推すると、販売価格の五分の一以下と思われる。なんだか、歓楽街にあるボッタクリバーを思い出す。

 美容にたいする女性の執着心というものは、男から見ると驚異である。60代になっても肌年齢は20代を維持する。こんな宣伝が巷に溢れている。安い材料に、カタカナのもっともらしい名称をつけ、高級品と思わせるような、高額な値段をつける。このカタカナに吸い付けられ、高ければ高いほど効果があると思わせ女性を飛びつかせる。

 この物語、懸賞オタクの主人公主婦文枝にある日ディナーショー券に当選したということで券が送られてくる。そのディナーショーが終了したところで、中学生時代の同級生加奈子が久しぶりと声をかけてくる。化粧品販売ビジネスを一緒にやろうと。

 その結果、文枝は大金と生きがいを手に入れる。しかし、加奈子とそのパートナーである男が、化粧品購入会員になった客に、化粧品会社が上場する、今投資しておくと上場時に大儲けできると持ち掛け、大金を投資させる。しかし、この上場話は嘘で、大金を集めたところで同級生は失踪、そして鎌倉の同級生の別荘でパートナーの男は殺される。

 主婦文枝が殺人犯として逮捕される。
しかし、文枝は殺人を頑強に否定。そして、警察には文枝が殺人をしたという証拠が無い。

 ここからの秦刑事と女性刑事菜月の真相追求の捜査が、鎌倉、東京だけでなく、岐阜、福井まで飛ぶ。スピードがあり、緊迫感一杯で見事な物語になっている。

 惜しいと思ったのは、2週間に一度の割合で、女性を集めて会員勧誘系商品販売をするのだが、どのようにして女性を集めるのかが語られない。広告を打つわけでもないし、チラシがまかれるわけでもない。このカラクリは詐欺につながる重要な鍵を握る。その説明が無いと物語の納得感がでない。

 また犯人は、パートナーを殺害する前に、別件で3人の殺人を起こしている。それだけ事件を起こしても絶対捕まらないとしているが、そんなに警察はずさんなものなのか、少し安直すぎる。この2点は残念だと感じた。

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| 古本読書日記 | 06:40 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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