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藤野千夜   「少年と少女のポルカ」(キノブックス文庫)

 男子高校で、ゲイの子。美形で洗練された生徒に憧れる。男子高校なのに、性転換までしてスカートをはいて登校する子が登場する。
 藤野さんは、こんなあり得ないような人物を、見事に実世界に融合させる。その手捌きには、本当に感動する。

 この作品集の「午後の時間割」の主人公ハルコには、その人物造形のすばらしさには称賛の言葉しか浮かばない。

 秀逸な青春の情景描写。
「ハルコの春はどこにある。と誰かが『赤色エレジー』の替え歌を歌い、ハルコの春はなかったんだよー、とその歌を知らないハルコが出鱈目な節で歌い返している。三月だった。夜が仄白い光に追われはじめ、薄汚れた電柱に向かい別の誰かが嘔吐しているのをハルコは指さして笑った。・・・・・ハルコは冷たいアスファルトの地べたに尻をつけ、いつのまにか皺くちゃになった煙草を吸った。誰かがハルコを指さして笑っていたのでハルコも笑い返した。卒業証書をラーメン屋に忘れたと言った女には、じゃあわたしのをやる、と筒ごと放りなげた。」

 自分もあったなあ、こんな青春が。アスファルトに仰向けに寝そべり、私を何とかしろと言って絶対動こうとしない女の子、電柱に抱き着いて好きな男の子の名前を叫ぶ女の子を思い出してしまう。

 高校時代のテシロギに誘われて、ラブホテルにやってくる。
 最後の瞬間。テシロギのあそこが役立たない。
テシロギが言う。「ごめん」と。

 その後のハルコの言葉がおそろしい。
「その声があまりにもせつなかったので、ゴメンですみゃあ警察はいらないよとわざと言ってやった。」

 テシロギが可哀そう。なぐさめてやりたい気持ちがいっぱいになった。

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| 古本読書日記 | 05:58 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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