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中山七里   「静おばあちゃんにおまかせ」(文春文庫)

 警視庁一課の刑事、葛城公彦は、正義感いっぱいで事件への取組む姿勢も真面目なのだが、推理力、捜査力はそれほどなく、平凡な刑事。この公彦の裏に、将来法曹界に進もうと大学で法律を学んでいる円(まどか)がいる。難事件が発生すると、事件現場の状況を公彦と捜査し、少したつと円が見事に事件を解決する。

 で、円が名探偵かと思いきや、円の捜査を、円から聞き取り、20年前に高裁の裁判官を辞した元女性裁判官だった円のお祖母さん、静がいて、見事に解決するのである。そんな円と静香お祖母さんが活躍する連作ミステリー集。

 ミステリー愛好家にとっては、既知のことだと思うが、完全密室殺人事件のトリックでフェイクという手がある。そのことをこの作品集で私は初めて知った。なるほどこういう手があるのかと思わず唸った。

 中山はこの連作集で2回フェイクを使っている。

  東京スーパースカイタワーの建設現場。450Mの高さまで吊り上げられたクレーン操作室の中で、操作人が殺害される。隣のクレーンの操作人が犯人として捜査されるが、450Mもする高い場所では、クレーン間の移動でも風も強く、あまりにも危険が大きく現実味が無い。

 しかし、操作室に取り付けられているカメラには吊り上げられたクレーンの中にうつぶせで倒れている操作人が映っている。完全密室である。どうやって殺害したのか。ここでフェイクが登場する。操作室内にある石油ストーブの燃料を古い灯油にしておき、操作人を一酸化炭素中毒にかからせ、倒された状態にする。つまりカメラに映ったときにはまだ死んでいないのである。 

 管制室にいる人間が、このクレーンを地上に下ろし、操作人を刺し殺し、また吊り上げたる。この際映像を450Mの状態で漂っている映像に差し替えておいたのである。

 もうひとつは、南米の小国の独裁者である大統領が、自身の宿泊している東京の高級ホテルの部屋で銃弾にうたれ殺される。大統領の部屋は、不審者の出入りを、警護人がずっと監視している。出入口はドア一か所。

 突然、銃声が響く。あわてて警護人が合鍵で部屋に踏み込むと血を頭部から流して死んでいる大統領を発見する。これも密室殺人である。

 実は鳴り響いた銃弾の音は、携帯電話の呼び出し音だった。そんな大きな音が仕込めるのか疑問はあるが、大統領は銃声が響いた以前に殺害されていたのである。

 これは面白いと思った。

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| 古本読書日記 | 06:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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