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宝積光    「史上最強の内閣」(小学館文庫)

 北朝鮮が、日本に向けた中距離弾道ミサイルに燃料を注入しだした。経済失速で支持率が低迷していた自由民権党の浅尾総理は、総理の地位を投げだし、この有事に対応するために用意されていた「影の最強内閣」に内閣を引き継いだ。この内閣は京都にあり、公家を中心とした実力派内閣だった。

 この内閣が成立した直後、北朝鮮の主席の長男が、成田空港で拘束される。こんな事件が確かにあり、即国外追放されたが、その長男が、引き取りにやってきた北工作員とともに日本に居座る。

 一気に北朝鮮との間に緊張が高まる。この複雑な事態を「影の最強内閣」がどう対処してゆくかが、物語の筋立てになっている。

 こう書くと、せっぱつまった緊迫の展開が全編にわたって書かれているのではと思うだろうが、中身はユーモアやジョークが満載で、拍子抜けのエンターテイメント小説になっている。

 この物語で強い印象が残ったところが2か所ある。
今は政治の無関心層が増大して、投票率は最低を更新しつづける。選挙のたびに、国民の最も大切な権利なのだから、投票にゆけとマスコミがこぞって呼びかける。

 宝積はこの物語で、無関心層が多いという社会は健全であると言う。国民の殆どが選挙や政治に関心がある状態というのは、一つの偏った思想に国民が一色に染め上げられている状態である。そうなってはいけないと。

 それから、戦後日本が平和を守ってこれたのは、憲法9条があったからではないと宝積は言う。

 戦争直後の昭和二十一年に「サザエさん」の新聞連載が始まっている。

「サザエさん」には、おじいさん、サザエさんの夫、そして息子たちが登場する。それは、当時の女性たちが戦争で失った人々である。失った人々に囲まれた生活は、当時の人々に眩しくみえた。人々はサザエさん一家の幸福な姿に憧れた。そしてサザエさんは今もみんなに愛されている。

 一部にこの国を戦争にむけようとしている勢力もいるが、サザエさんが親しまれている限りこの国は戦争はしない。

 根拠は薄弱だが、確かに大きな説得力をもっている。

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