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中山七里   「ヒポクラテスの誓い」(祥伝社文庫)

凍死、病死、交通事故死など、一見して死因が明らかと思われる死体を、偏屈者で知られる、法医学の権威、光崎教授の無理を通す、強引な指示により遺体解剖をして、殺人事件が暴露されてゆくミステリー連作短編集。

 さいたま市浦和区皇山町。かっては、田畑が広がる農業地帯。そこに、都会から住民が移り住み、今や新興住宅の街となる。農業で食べてゆくのはやっとの中に、裕福な人たちが移り住む。所有する車はハイブリッド車やセダン。その中に、いまだに農家がポツンとある。

 古い民家で、車は軽トラック。垢ぬけた暮らしぶりの新興住宅のなか農家の人々は委縮し、卑屈に生きる。

 そんな街の河原で、凍死体と思われる死体があがる。名前は峰岸徹54歳。傍らに焼酎のボトルが飲み干され転がっている。検視官国木田は焼酎に酔って河原で寝込み凍死したと判断する。

 しかし光崎教授がゴリ押しして死体解剖をすることになる。その結果、体内のアルコールに混ざってフルニトバゼラムという睡眠誘導剤が検出される。この誘導剤は服用すると、30分以内に眠りが訪れ、24時間寝たままになる。

 実は、当日峰岸は幼馴染の宇都宮、瀬川と酒を飲んでいた。峰岸は建築業で成功を収め富豪となっている。宇都宮は、同じく建築業を起こしたのだが失敗し、今は峰岸の会社で働いている。瀬川はサイネリアという花の栽培を中心として農業を営んでいる。

 解剖で峰岸ののどに花粉が粘着していたことがわかる。この花粉がサイネリアの花粉と一致。しかも、瀬川は50万円峰岸から借金をしていた。犯人は瀬川になるが、50万円で人殺しをするだろうか。

 実は宇都宮と瀬川は小学校のころ峰岸を苛めていた。時には殴ったり蹴ったりもした。

峰岸は2人にバーで50万円、100万円はチャラにしてやる。そのかわり自分の周りを四つん這いでワン、ワンと吠えながら3回まわり、チンチンをして靴を舐めろと命令し2人にやらせたのだ。

 プライドを傷つけた怨恨は、何年たっても消えるどころか、年を経るにつれ増大してくる。

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| 古本読書日記 | 05:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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