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中村航    「世界中の青空をあつめて」(キノブックス文庫)

 ストーリーテラーの名手中村らしく、1964年の東京オリンピックと2020年開催予定の東京オリンピックをしっかり繋いだ物語になっている。

 東京での仕事で失敗し、失意の中、愛媛のミカン農家をしている実家に戻ってきた主人公の藤川和樹。実家で少しばかりミカン農家の手伝いをしながら、ぐうたらと過ごしていた時、祖父とみていたテレビで2020年に東京オリンピック開催が決まったことを知る。その直後祖父から55年前の手紙を託され、手紙の中で書かれている人たちの消息を調べてほしいとお願いされ、また東京に戻ってくる。

 調査に苦労はしたが、手紙に書かれている名前は55年前、開進第2中学校の5人の生徒だとわかる。更に、驚くことに5人は当時陸上部の生徒たちでその生徒たちを指導していたコーチが祖父だったことを知る。

 そして、その5人がそれぞれのメンバーや祖父にあてた手紙を書き、タイムカプセルとして校庭に、今は練馬総合運動場になっているが埋めた。

 埋めた年は最初の東京オリンピック開催が決まった年。オリンピックは5年後に開催される。ひょっとすればこの5人のなかから、出場選手がでるかもしれない。
 カプセルは55年を経て、掘り出され開封される。残念だが、5人からオリンピック選手はでなかったが。

 1964年の東京オリンピック。私は小学校6年生だった。まだ家にテレビが無く、近所の従兄の家に行って毎日みた。体操、バレーボールももちろん印象に残ったが、最も印象が強かったのが棒高跳びだった。

 競技開始から終了まで9時間以上かかった。バーが5Mを超えてから、アメリカのハンセンとドイツのラインハルトがどちらも譲らず、果てるともなく競技が続いた。確か夜10時近くまで行われたように記憶している。

 小学生は寝る時間だし、こんなに夜遅くまで他人の家でテレビを見ている。もうかえらなくちゃと思うのだが、画面に釘付けになり、家へ帰ることができない。秋は深まり夜は寒い。

 その中で死闘が繰り広げられた。

タイムカプセルには5年後に5人だけで小さなオリンピックを開こうと約束がされていた。
 この5人の中に、原田忠市という棒高跳びの選手がいた。有能でひょっとすればオリンピックに行けるのではと思われるくらいだった。

 そして、55年後、練馬総合運動場で開進第2中の生徒を含め、5人と和樹、祖父も含め町ぐるみの小さなオリンピックが開催される。

 和樹はなまった体を短い期間で鍛えて、棒高跳びにエントリーする。
バーの高さは3M50CM.棒高跳びはバーを越えてから落ちるまで、視界に入るのは秋の真っ青な青空だけ。つきぬける澄み切った空の色が鮮やかだ。

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| 古本読書日記 | 05:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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