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山本周五郎   「黄色毒矢事件 少年探偵春田龍介」(新潮文庫)

山本周五郎は大正15年「須磨寺付近」で作家デビューをしている。しかし、この後鳴かず飛ばずの時代がしばらく続く。その間飯が食えないので、本意ではなかったが、新潮社の編集者だった山手樹一郎の依頼で少女小説、それから数年の後少年雑誌用の探偵小説を書き糊塗をしのいでいた。このことは相当忸怩たる思いがあったようで、自叙伝にも当時のことを「稼ぎ原稿を今ひとつ書いている」と述べている。

 山本周五郎には、こんな少年少女ものが100篇あるそうだ。
 この本は1930年から始まった少年探偵もの春田龍介シリーズから6編を選び収録している。探偵推理ものから冒険活劇まで収録されており、その範囲は幅広い。

 正直、流して書いているというか、力がはいってないのが伝わってくるような作品ばかり。
それでも、最後に収録されている「ウラルの東」での、春田龍介少年が乗ったエレベーターの底がぬけ、その下には硫酸が満々とはいった桶がおいてあり、そこへ今にも落ちそうなところを回避する場面はさすが山本で迫力があった。

 タイトルとなっている「黄色毒矢事件」。
陸海軍の委嘱を受け、籏野理学博士が「超爆液」という液状火薬を開発する。その威力は目薬程度の量があれば、超弩級戦艦を木っ端みじんにするほどものすごい。この成分分析表が、博士の研究室の大金庫に保管されていたのだが、敵スパイに盗まれそうになる。

 籏野博士は、もともと体が奇形で背虫男のような体になっている。春田龍介が、一緒に外出するとき、壁にかかっている帽子の位置を少し上にあげておく。

 普通なら籏野博士は手が届かないのに、博士は簡単に壁から帽子をとり頭にかぶる。
ここで、春田龍介は博士が偽者だと見破り、事件が解決する。

 叱られるかもしれないが、このトリックが実にほほえましい。

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| 古本読書日記 | 05:49 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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