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村上龍    「ポップアートのある部屋」(講談社文庫)

60年代を華々しく彩ったのは、ビートルズ、ローリングストーンズ、プレスリーのロックミュージックだ。しかし、それ以上に、世の中を変えたのがポップアートだった。

 リキテンシュタイン、ウォーホール、ジャスパー・ジョーンズなど、閉鎖された美術館をとびだして、あらゆる空間、場所がキャンパスになった。

 そんなポップアートに触発された村上が描いた12の掌編集。お前らに俺がわかるかというスノッブな村上の雰囲気むんむんの作品が詰められている。

 主人公の小説家の友達Sは、使っても使っても使いきれないお金を持っている。ある日、彼の邸宅に招待される。
 家の庭には、ディズニーランドまではいかないが、他の遊園地にあるジェットコースターを凌ぐ、錆びたジェットコースターがある。もう飽きたのだそうである。

 Sが小説家(村上を想像させる)に聞く。
 「出した2冊の本がベストセラーになったんだね。それでいくら金が手にはいったの。」
 「2百万ドルだよ。」
 「それで何を買ったの。」「家を買ったよ」「ほかには」「ベンツのスポーツタイプ。それから、オーディオセット、ビデオデッキ、ボルゾイを2匹。それから旅行にも行ったよ。南米とか東アフリカとか。」「映画会社は?」「持ってないよ」「クルーザーは」「ないよ」飛行機は」「あるわけないよ。たった2百万ドルだぜ。」
 「そうか、僕は全部もっているよ。」

 Sは、庭に美術館を持っていた。妻が後期印象派の絵画が好きで、集めていた。それを展示していたのだ。

 ところが、Sがカルトに少し狂って、その教えにより、庭のプールの水を煮沸。沸騰させた。そのプールの中に、妻が大切にしていたチワワが落ち死んでしまう。妻は激怒。美術館の絵画を全部売り払い、のっぺらぼうの顔と腕のない女性の像だけが残る。
 その像をSは眺めていると妻を思い出し落ち着くという。

そんなSから連絡がある。
 「今度、無重力の部屋をつくったからおいでよ。」と。
全く、村上にしか書けない小説である。

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| 古本読書日記 | 05:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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