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有栖川有栖    「ダリの繭」(角川文庫)

推理小説作家有栖川有栖と犯罪心理学を教えている名探偵、火村英生コンビによるシリーズ4作目の作品。

 ダリの心酔者である、宝石販売会社社長の堂城秀一が、彼の六甲にある別荘から死体で発見される。この死体の状況が異常。

 実は、現代の繭と呼ばれる、「フロートカプセル」の中に浮かんだまま死体となっていた。この「フロートカプセル」。体温と同じ温度である特殊な液体が入っている。この特殊な内用液の影響で、殆ど無重力状態で浮かび、40分浮かんでいると、6時間熟睡したときと同じ状態になって甦ることができる。

 秀一をめぐって周囲にいる人間。弟の副社長をしている秀二。さらにその弟であり、広告会社に勤めている吉住訓夫。3人は腹違いの兄弟。それに、宝石デザイナーの長池伸介。さらに社長の美人秘書である鷲尾優子。優子は社長の愛人でもあると同時にデザイナーの長池とも付き合っている。過去には吉住にも言い寄られたが断っている経緯がある。

 事件を解く鍵は、いつも40分で固定されていた設定時間が、その日に限り50分と10分間延長してあったこと。時間設定の変更は難しく、社長の秀一しかできなかったこと。

 「フロートカプセル」の脇に犯人のものと思われる衣類がおかれていて、血が塗りつけられている。返り血にみえるが、明らかに後から塗り付けている。

 凶器がわからなかったが、衣類を発見した河原の草原の中から、小さな女神像が発見され凶器と断定される。

 この女神像は、鳥羽の土産物屋の主人が創ったもので、出来が悪く、3体が創られたが、3年間で2体しか売れなかった。そのうち一体は、会社の旅行で、長井が面白いと言って購入し、家に飾ってある。その像には吉住の指紋がついていた。

 3体のうち現在は1体が売れ残っている。もう一体は誰が購入したのか。
 この散らばったたくさんのトリックを、苦戦しながらも名探偵火村が紐解き、事件の真相に至る。

 現実にはありえない、「フロートカプセル」を登場させ、事件に使うのは、推理小説としては、ルール違反かなと思ったが、そのカプセルが謎と不気味さを物語から立ち上がらせ、少し時間はかかったが納得できた。

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| 古本読書日記 | 06:15 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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