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村上龍     「長崎オランダ村」(講談社文庫)

村上龍の傑作青春小説「69」。深夜高校に忍び込みバリケードを築く。その途中でナカムラが、校長の机にうんちをする。村上のでっちあげだと思っていたら、あとがきでどうもナカムラは実在のモデルがいて、うんちも実話ではないかもしれないと半信半疑でいたところ、この作品を読み、うんちは実話だったのだと知り改めて驚いた。

 この作品にそのナカムラ君が主人公で登場するのだ。ナカムラ君は現在、長崎で小さなイベント企画会社をしている。長崎にあるオランダ村(実際は佐世保のハウステンボス)で40日間、世界の大道芸人やダンサーを集めてワールドフスティバルをやる。その企画運営をナカムラ君の会社が引き受ける。

 ナカムラ君の会社は、ある県の大きなセレモニーで大失敗をして、この企画を無理やり引き受けさせられた。

 何しろ、飛行機に乗ったこともないような、世界の田舎のまともではない人たち(こういう人たちのほうがギャラが圧倒的に安いから)が東京を超えて、日本の西端の長崎にくる。
 一日10件はトラブルが起きる。こんな企画を受ける会社は無い。

コートジヴォワールから10人の舞踊団が来る。羽田まで迎えに行く。「鼻にわっかをはめて、どくろのついた杖をついている」とまではいかないが首や手や足にジャラジャラとわっかをはめ、体中に短剣をつけている。よく飛行機に乗れたものだとびっくりする。

 こんな人たちがぞろぞろやってくるのだから世話はたまらない。

歓迎式典が開かれる。誰一人聞いている人などいない。
 トリニダードトバコの連中が式典そっちのけでコカインをやる。コロンビアのバックバンドがマリファナを吸う。式典には警察のお偉いさんも招かれているというのに・・・。

 長丁場の滞在、休みの日にレクレーションとしてボーリング大会をする。これが大変、ボーリングなんて誰も知らない。だからルール説明をする。英語、フランス語、スペイン語、トルコ語、韓国語と順次言葉を変え説明する。そんなのを待てない。フィージーの酋長が説明終了の前にボールをかついで投げる。ピンのそばでどでかい音をたててレーン上に落ちる。転がすのだと教える前に、一斉射撃のようにボールを投げる。ブラジルの女の子は股下から投げて7mも飛ばす。

 何とかして転がすことを教える。すると全員がボールを持って転がす。一人ずつということを教えてなかった。ボールが集中したレーンは破壊される。

 こんなてんやわんやが、オランダ村に講演にきた作家のケンとナカムラ君の対話で描かれる。

 時々、大作家ケンが、上から目線でひとつひとつの出来事に講釈をのたまう。最後は40日間の大騒動で人生は変わったかなどという高邁なテーマが語られる。

 ケンを尊敬しているが、落語の与太郎みたいなナカムラ君と、隠居のじいさんのようなケンとのしゃべりあいが実によくできている。

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| 古本読書日記 | 06:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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