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村上龍    「恋はいつも未知なもの」(角川文庫)

幻の魅惑のジャズバーがある。女性シンガーが奏でるボーカルの、心やすまる麻薬のような歌声に酔いしれる。行ったことがある人は多いが、そのバーは、不思議なことにどこにあったのか場所がみんなよくわからない。マンハッタンだったという人もいるし、ウィーンだ、カサブランカだ、六本木だ、銀座だとそれぞれに言う。

 そんな幻のジャズバーを軸に、ジャズの名曲の歌詞とともに、それぞれの曲にまつわる洒落た恋愛をつづる掌編集。

 一等地にあるバー。こういう店は、店が客を選んでいる。出版社、代理店、テレビ局、ファッション、そして有名人たち・・・。彼らは接待されたり、接待したり、女に口説かれたり、口説いたりする。だが、彼らはこの国を支えているのではない。むしろ逆だ。「普通のサラリーマン」に支えられて生きているのだ。

 もうこの文章だけで、超えられないガラスの天井があり、私には別世界でため息ばかりがでる。

 「欲望という名の電車」というクラッシクな名映画がある。この映画でマーロンブランドはオスの力でビビアンリーを屈服させる。
 ここで主人公の相手が質問をする。
「知的な女性を屈服させるのは、オスとしての力か、社会的力例えば大企業の社長というような、背景で屈服させるのか。どちらが難しい?」

答えを躊躇していると、彼が説明する。
 「医者だとか、自分は大企業の副社長なのだか、そんな社会的背景を力にしても女はなびかないし、征服できない。
 頭のいい女ほどオスとしての総体を欲しがるんだ。社会的背景に目がいくような女ほど本当なバカなんだ。」

 そして名曲「DON’T EXPLAIN」(何も言わないで)の和訳が「オスをひたすら愛する知的な女の歌だよ」というしゃべりの後に続く。
 ため息しかでてこない恋愛小説集である。

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| 古本読書日記 | 06:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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