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嵐山光三郎  「漂流怪人・きだみのる」(小学館文庫)

  明治28年、奄美大島で生まれたきだみのる。翻訳家、漂流する旅行家、詩人、社会学者、翻訳家、小説家と多面的な顔を持ち世界、日本国内を、定住地を持たず、実娘ミミちゃんを連れ放浪したまさに怪人。

 戦前では、林達夫と共著でファーブルの「昆虫記」を翻訳。戦争に一直線に進んでいる時代にパリへ留学。そこで社会学を学ぶ。そして帰国途中、モロッコ経由で帰ってくる。当時は、出征兵士となり海外に行く時代、そんな時代に海外から帰国してきた変わり者。

 1946年疎開地での混乱のありさまを書いた「気違い部落周游紀行」が大ベストセラーになり、一躍流行作家となる。

 この作品は森繁久彌など豪華俳優が出演し、「気違い部落」というタイトルで映画化され大ヒット作品となる。きだみのるはタイトルは「愉快な村」にしようかと提案したがそれではインパクトが無いということで「気違い部落」となった。1975年にきだが亡くなった時、NHKはきだの代表的な作品をタイトルゆえに紹介できなかった。

 この本は、平凡社の編集員だった著者が、雑誌「太陽」に日本の集落をきだと一緒に尋ね、その旅行記を連載することが決まり、その同行記として書かれた作品。

 きだの破天荒ぶりが嵐山により活写される。驚いたのは、きだはダダイズムに興味を示し、ダダイズムで有名な辻潤と親交があり、辻の妻伊藤野枝が、大杉栄に走り、その伊藤や大杉をよく知っていること。さらに大杉や野枝を殺害した甘粕大尉とも交流があったことと、それをリアルに告白しているところ。

 この作品が連載されていた1970年のころ、伊那に滞在した嵐山ときだ。当時は選挙では買収は当たり前の時代。国会議員であれば一票3000円。県会議員は2000円。村会議員は1000円が相場。

 その時、県会議員選挙がある。トミさんの家では、ばあちゃん、夫婦、息子2人だから5票で10000円。ところが選挙中にばあちゃんが亡くなる。それで10000円もらうが、おつり2000円を買収員に渡したそうだ。

 なかなか面白い話だ。

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| 古本読書日記 | 05:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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