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村上龍    「希望の国のエクソダス」(文春文庫)

 この作品によると、ネットを始めとしてIT技術を習得して、新しいアイデアを創造できる力が最も発揮できる年齢は13歳だそうだ。

 登校拒否児がクラスに一人、二人いるぶんには、あいつなら仕方ないで済むが、クラス全員や、大半が登校拒否をしたらそれは大ごと。

 この物語は中学2年生のポンちゃんこと楠田譲二がネットで呼びかけ、中学校には登校せず、ネットで仲間を募り、ベルギーの通信会社に映像を提供するという商売を皮切りに、次々ネット商売を立ち上げ成功を収め数兆円の儲けをあげる。

 このネットワーク仲間での登校拒否中学生は60万人にも達する。流行の火付け役は常に中学生。このネットワーク仲間に多くの企業が乗りたいとアプローチしてくる。
 ネットワークでは、新たに、自分たちが学びたい内容を学べる学校を創設。文科省に学校認可をさせる。

 ポンちゃんが国会に参考人として招致され語ったことが強い印象を残す。
「戦争のあとの廃墟の時代のように、希望だけがあるという時代よりは今はましだとは思います。九十年代、僕らが育ってきた時代ですが、バブルの反省だけがあって、誰もが自信をなくしていて、それでいて基本的には何も変わらなかった。今、考えてみると、と言うことですが、ぼくらはそういう大人の社会の優柔不断な考え方ややり方の犠牲になったのではないかと思います。
・・・食料や水や医薬品や車や飛行機や電気製品、また道路や橋や空港や港湾施設や上下水道施設など、生きていくためのものがとりあえず全てそろっていて、それで希望だけがない、
という国で、希望だけしかなかったころとほとんど変わらない教育をうけているという事実をどう考えればいいのだろうか。」

 この物語は、書いたのは村上だが、テーマにより、専門家が何が起きているのかという知見を提示して支援している。だからネットや電力、金融などテーマによって、がらりと表現方法が変わる。

 著者村上龍だけでなく、専門家たちとの共作でもよかったのではと思う。

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| 古本読書日記 | 05:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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