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新潮文庫編集部編   「山崎豊子読本」(新潮文庫)

 山崎豊子が創り上げた数々の大作、名作を、その作品が書かれたときの山崎の執筆情景や、取材活動をよみがえらせるとともに、その作品についての山崎のエッセイを差しはさみ、山崎を読むための優れたガイドブック。

 山崎は、想像ではなく、現場を踏破し、徹底した取材を敢行、そこから壮大な物語を創り上げた。「不毛地帯」執筆でも驚愕するのだが、シベリア抑留現場を調査するために、当時はソ連が共産主義国で訪問が困難な地にも拘わらず、その壁を突破し、何とたった一人でハバロフスク、イルクーツク、バイカル湖、モスクワまでマイナス30度にもなる極寒の地を踏破している。

 確か「大地の子」でも、三峡ダム建設現場にゆき、労働者とともに何日間か寝起きを共にしたというのを山崎の秘書、野上孝子の著作で読んだような覚えがある。

 大戦中のアメリカでの日系人の苦難な暮らしを描いた「2つの祖国」。
 ロサンジェルス邦人新聞記者をしている天羽。家族で強制収容所に収容される。末弟はアメリカに忠誠を誓い、パリ戦線に送られるがそこで戦死。もう一人の弟は開戦前日本に留学.。

その後消息不明。天羽自身は情報担当官として、日本の暗号解読に携わるが、その後フィリピン戦線に派遣される。そこで、やせ衰えた一人の日本兵に遭遇する。それが、留学して不明になった弟だった。驚くことに、この天羽兄弟と同じ体験をした日本人を山崎は探し当てている。

 この「2つの祖国」について日系人強制収容所体験をしているジェームス荒木教授が、天羽のフィリピン戦線描写の場面について硝煙の匂いがしないと著作で書く。実は、綿密な取材を基盤にして作品を描く山崎がフィリピンでの取材はしていなくて、想像で描いていた。

 そこで山崎は同じ新聞記者だった倉田玲をモデルに短編を書いている。その短編のためにフィリピンで取材、調査を行う。
 私は、山崎の全作品を読破しているが、倉田記者を描いた短編「ムッシュ クラタ」が山崎の作品では最も好きだ。

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