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村上龍   「69 SIXTY NINE」(集英社文庫)

 村上と私の年齢差は1歳。だから、殆ど同じ空気を高校のとき味わっている。
タイトル「69」。また龍独特の過激なエロを描いた作品かと思って読み始めたら、SEXの「69」ではなくて、1969年、村上が高校2年の時を描いた作品だった。

 一年前に東大の安田講堂の封鎖を解かれ、学生運動が終焉したが、まだ、学校の中にはその名残があった。そこで、この物語のように、学生運動のスタイルだけを真似て、ふざけた騒動を高校で起こす。

 私は高校生の頃、音楽の授業が嫌いだった。なにしろこれが音楽の先生かと思うような先生。ピアノを人差し指だけで鍵盤をたたいて弾くような先生だった。それで、音楽教師の部屋のドアの前に机や椅子を積み上げ、バリケード封鎖をしてしまった。
 先生は、中から「誰だこんなことをするのは。すぐバリケードをどかしなさい。」と声を上げた。どんなに叫ばれても、ずっと無視した。

 最後には涙声になって「ここから出してください」と叫んでいた。ばかなことをしたものだと今でも思い出すと胸が疼く。

 この物語でも、真夜中に学校に忍び込んだ主人公といつもの仲間が、玄関にペンキで「国体粉砕」とか職員室の窓に「権力の犬ども、自己批判せよ」などと書きなぐり、最後は屋上にでて、「想像力が、権力を奪う」という垂れ幕をたらし、ドア口をバリケードで封鎖する。

 このことを、朝、主人公矢崎が故意に新聞社、テレビ局に電話。学校関係者より、マスコミが異常事態を最初に知り、大騒ぎとなる。この結果矢崎たちは無期限停学という措置を受ける。

 バリケード封鎖の過程で、仲間のひとりナカムラがトイレに行きたくなる。しかも、小ではなく大のほうだ。矢崎はトイレに行くことを許さない。そして、校長の机の上にしろとナカムラに命令する。ナカムラは悲壮感の中、校長の机の上でウンコをする。

 これは、完全に作り話。こんなレベルの低い作り話を書いてはいけないと思って読んでいくと、最後に、作家になった矢崎にナカムラが言う。「とうとう書いちゃうんだね。」。え、本当にあったことなのか。

 勤労感謝の日、労働会館を借り切ってフェスティバルをする。この祭りのタイトルが「モーニング・エレクション・フェスティバル 朝起ち祭」。凄い名前だ。

 徹底的に陽気で楽しく、悩み、暗さと無縁な元気いっぱいの高校時代の物語だ。

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| 古本読書日記 | 05:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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