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村上龍    「はじめての夜 二度目の夜 最後の夜」(集英社文庫)

主人公のヤザキは小説家であるし、映画も撮るし、ミュージシャンもプロデュースする。村上龍の分身。ヤザキの元に突然同級生アオキミチコから電話がかかってくる。「逢いたい」と。

 ミチコは中学生のとき、ヤザキの初恋の相手。といって、デートをしたわけでもないし、恋をしたということはない。ミチコは憧れであって、いつも見つめているだけ。

 たまたまヤザキがプロデュースしているバンドがハウステンボスでコンサートを開催するのにかこつけて、ミチコに会うことを約束する。
 ホテル ヨーロッパに宿泊し、唯一無比の最高のフレンチレストラン「エリタージュ」で贅沢料理と最高のワインを楽しむ。
 そして、初恋同士は結ばれる。

しかし、驚く。1回目は仕事があったから、ハウステンボスでデートしても不思議はないのだが、2回目、3回目はヤザキは東京からわざわざハウステンボスに出向く。全く贅沢な逢引きである。

 ヤザキは、何十年という間ひたすらある人のことを思い続けて、そしてあるときその思いが実現して、もうこれで死んでも構わないと思う人が存在するということは嘘だ、10年以上逢わない間に人間は社会的にも肉体的にも変わってしまう。その過程で多くの人に出会う。そこで、尊敬できたり信頼できる異性にあい、SEXをする。一夜を添い遂げたいとずっと思い続けて、待ち続ける人間なんて存在するわけがないと考えている。

 ミチコにとってヤザキは本当にひたすら会いたいと思い続けてきたのだろうか。そうじゃないんじゃないか。
年齢を重ねるということは、今の自分が何かを成し遂げたいとき、それを成し遂げるため、どれだけ集中できるかを知ることである。つまり、行動の情熱、そしてその果てはどうなるのか見えることである。

 そして、総じて、女性のほうが、その限界をきっちり認識し、男はその認識がなかなかできない。

 ミチコは今の関係の限界がはっきり見えている。だから、きっぱりと3回目の夜を過ごした後「もう逢わない」と言う。

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| 古本読書日記 | 06:57 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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