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堂場瞬一    「大延長」(実業之日本社文庫)

 今年の夏の高校野球は大阪桐蔭史上初の2度目の春夏連覇という偉業達成で終了したが、大会の主役は大阪桐蔭でなく金足農業の吉田投手だった。決勝戦まですべての試合で完投、決勝大阪桐蔭戦の5回で疲労のため股関節痛が襲い、もう投げられないと降板。
 桐蔭戦での投球数は132球。甲子園での投球数は881球だった。

この物語も高校野球大会決勝戦を扱っている。対戦は新潟県で5指にはいる県立の進学校新潟海浜と、私立で5回連続甲子園に駒を進めてきた、野球の名門恒正学園。

 しかも、この2校、決勝戦を戦い15回0-0の引き分けで再試合となる。引き分けの試合で海浜高校のエース牛木は完投、165球を投げている。

 海浜の監督羽場は自身が高校野球で肩を壊し、その後の野球人生を諦めた経験から、将来ある牛木の野球人生を終わりにしてはならないと、先発を県大会初戦で痛打をあびKOされた横井にする。牛木をはじめナインには不満が残る。

 実は、牛木は高校2年のとき右膝を故障し、一年間棒にふっている。
もう一度ひざの故障がでれば、野球生命は終わる。

 再試合、横井は案の定恒星に打たれる。特に屈指スラッガー久保には2打席連続でホームランを浴びる。

この作品は、引き分けに終わった日の夕方から、決勝再試合終了までの物語になっている。
しかし、海浜もしぶとく攻め、5回を終わって恒星が7-4の3点リード。まだ頑張れば何とかなると思っていたところで、横井が痛烈なピッチャーライナーを顔面で受けケガをし退場。そして牛木がマウンドにあがる。膝は痛くない。快調な投球で恒星の後続を断ち、試合は6回にはいる。

 ここでランナーをおいて牛木が一塁線を破る。一塁ランナーの小嶋が生還。牛木は3塁まで走り滑り込む。このとき膝を痛める。
 ストレートは投げ込めないが、変化球でかわす。そして8回を終わり、9-7で海浜がリード。9回の恒星を抑えれば、海浜が優勝する。

 しかし、恒星は、牛木が膝を故障していることを掴む。そして、9回は牛木の前にバント攻勢。牛木が守備ができないため、内野が混乱。10-9で逆転される。

 この物語の愁眉が9回海浜の攻撃。先頭打者が3塁打で出塁。ここで牛木が打者で登場。ひざ痛で打てない、走れない。だから作戦はスクイズしかない。そしてスクイズをする。一塁手の久保が猛ダッシュをして打球をとる。そのまま捕手に投げれば完全にアウト。ところが、久保は何と一塁に放り、土壇場で同点になり、延長戦となる。

 久保は、相手投手のケガに乗じて勝つことはフェアでないという信念で捕手にボールを投げない。また牛木が一塁に残り、走れば膝は更に悪化する。それはいけないと思っていた。

 長い物語はここで一旦終了。結果は淡々と、回は不明だが、久保の3ランの後、ケガで戦列を離れていた海浜のキャプテン春名が逆転のサヨナラホームランで海浜の大逆転で終わったことが報告される。

 それにしても長い。再試合前日夕方から、再試合9回まで410ページ。しかも再試合の経過が280ページ弱まで描写される。
 昔「巨人の星」というアニメがテレビであったが、ああだ、こうだと心理描写が長く30分で3球しか投げないことがしばしば。この作品でそれを思い出した。

 この物語の牛本のように、金足農業の吉田投手の連投への非難が今湧き上がっている。しかし、それだと高校野球でも力のある投手数人を擁しなくてはならない。そうなると、全国から選手を集める私立野球校しか、甲子園には出場できなくなる。それは、何とも寂しい。

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| 古本読書日記 | 06:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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