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柚月裕子    「朽ちないサクラ」(徳間文庫)

この作品のタイトルにある「サクラ」というのは公安警察の呼び名である。

 物語で、捜査課の梶山課長が、事件の真相と犯人を特定するためには、公安警察が所持している新興宗教集団ソノフの監視対象者リストが必要となる。それで、公安警察の白澤課長にリストの提供を依頼する。

 その時の白澤課長の返答が印象に残る。
「梶さん、あなたたち刑事部の捜査員は、すでにおきた事件の捜査を職務としていますが、われわれ公安は違う。われわれは、これから起きるかもしれない事件を、未然に防ぐことを職務にしているんです。すでに死んでいる人間と、今生きている人間。どちらを守るべきだと思われますか。」

 3人の死者がでる。

一人は女子大生長岡愛梨。ずっとストーカーに付け狙われていて、恐怖を感じ、警察に被害届を両親も含め出していたのだが、警察は受理をずっと渋る。受理をすると捜査をせねばならなくなる。両親が弁護士をたてると極まって言ったために、しぶしぶ受理をするが、受理日を一週間先にしてくれと警察が言う。それから2日後にストーカーにより愛梨さ刺殺される。

 もう一人は、主人公で刑事泉の高校時代の友人で、現在米崎新聞社会部記者をしている津村千佳。実は、警察のストーカー苦情受付をしていて、1週間受理日を先延ばしをした担当の辺見は、この1週間の間に北海道に慰安旅行をしていた。このことを絶対マル秘ということで泉は千佳に伝えていた。その翌日の朝刊に慰安旅行の件が米崎新聞スクープで報道される。
 千佳は、絶対口外していないと泉に言い、おもいつくことがあるので、自分で調査すると次の日から新聞社を休み独自行動をする。その間に川から溺死体となって発見される。

 もう一人は生活安全課でアルバイトをしていた百瀬美咲。警察でアルバイトをしている。通常警察でのアルバイト、5-6年単位で契約が更新され勤務が継続できるのだが、2年で突然解約。それで、地元の実家に帰ったが、近くの森で首つり死体となって発見される。

 この殺人事件の過程で、奇妙だったことは、苦情受付で常に相談者のサイドにたって対応していた辺見が、愛梨の件だけは、冷たい対応に終始していたこと。

 そして、愛梨を殺害したストーカーの赤沢が新興宗教集団ソノフに入信していたところから、事件の背景にソノフが存在していることがわかってくる。

 ところが、ここで公安警察が登場して、捜査を邪魔する。事件の真相を知っている百瀬殺害の犯人を公安のスパイを使い殺害したり、辺見をノイローゼに追いやり警察を辞職させる。

 そして警察の実態は、刑事部捜査課より公安警察のほうが力が強いことが物語では描写される。

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| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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