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黒川博行     「悪果」(角川文庫)

 大阪今里署のマル暴担当刑事堀内は、暴力団淇道会が賭博を開帳するという情報を得て相棒の伊達らとともに、現場を押さえ27人を現行犯逮捕する。取り調べから明らかになった金の流れをネタに、業界紙編集者の坂辺と組み、逮捕者を強請り、金をむしりとろうとする。その過程で、坂辺が交通事故にみせかけ殺害される。

 そこから、ヤクザがうごめきはじめる。ヤクザとそのヤクザを動かしている黒幕を捜索していく過程と警察とヤクザの対決が物語の大筋。

 面白いのは、捜索は犯罪を暴露し、犯人を逮捕することを目的にせず、あくまで、そこで得た内容をネタに刑事である堀内、伊達が犯人を強請り、金を強奪することが目的であるところ。

 とにかく黒川は警察の悪臭、腐臭の実態をよくつかんでいてその細部にわたる表現が鋭い。

 堀内が北淀署に配属されたとき地域課の会計担当の指示で印鑑を自費で2つ作らされる。
署にはこうした三文判が数百保管されており、会計の指示で、カラ出張費や参考人の旅費、日当や実際に払われることのない協力者の謝礼金のための偽領収書や偽伝票を作らされる。

 ノルマがあり、伝票は一件4万円から5万円で、平クラスだと月3件、警部補だと5件、警部になると7件。

 これで集められたお金は、上納金となり、刑事課長、副署長、署長のヤミ給与となる。この金額が署長になると月100万円を超える。飲み代、ゴルフ代、署長公舎の家具、什器、家電製品、カーテンから味噌醤油まですべて署が丸抱えする。

 上がこんな状態では下も腐りきる。

警視正、警視といった上級幹部の餞別資金は、署で作ってプールしている裏金と、それから管轄の商工会が集金したる餞別金で膨大なお金になる。何しろ署長を2回もやれば家が建つ。

 暴力団は飲食店のお守金として一定の金額をとればそれ以上は要求しない。しかし警察がその代わりをするとなると、警察官、刑事の飲み代はすべてただ。加えて、年がら年中、協力金だとか感謝金などと名目をつけ、お金を徴収する。暴力団より警察のほうが、飲み屋、クラブからの評判は悪い。

 この作品では、一人として正義の登場人物はいない。

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| 古本読書日記 | 06:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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