FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

宮部みゆき  「過ぎ去りし、王国の城」(角川文庫)

自分の人生は充実していて、幸せな人生だったと感じている人も世の中にはいるが、逆にあれが無ければ、あのときあんなことをしたために、ずっと不幸で切ない人生になってしまったと悔やんでいる人もいる。そんな人は、年がら年中、あの時のことを思い出し、胸をかきむしる切なさに憂う。

 この物語では、今の不幸な状態を、その不幸が起こったときに戻って変え、今の不幸を変えたいと思っている2人が登場する。

 一人は、主人公と物語で一緒に活躍する珠美。珠美は母親を6歳のとき交通事故で失い、そこから学校では徹底的にいじめられ不幸な人生を歩みはじめる。だから交通事故の手前に戻り母親を死なせず、母親のいる人生を歩みなおしたいと考えている。珠美は絵を描くのが楽しく、絵ばかり描いて生活している。それから漫画家を目指して頑張ってきたが、ずっと有名売れっ子漫画家のアシスタントに甘んじ、なにがきっかけだったのか物語ではよくわからなかったが、突然漫画を描くことができなくなる。
もう一人は失職し地の底を這う生活をしている佐々野。

 珠美と同級生の主人公真は、銀行で順番を待っているときに、ある展示された絵を拾ってくる。その絵は古城に女の子が一人窓にたってたたずんでいる。その絵が不思議で、見ている人のアバダーを絵上に描き、そこを指で押すと、絵の中に入りこめるのだ。真は絵が不得意のため、珠美にアバダーを描いてもらい、絵に入り込む。また、珠美も入る。

 入った絵に、先客として佐々野がいた。
そして、城にいる女の子は10年前に突然失踪した当時9歳の伊音という子だとわかる。
伊音の家庭も不幸の極みの家庭で、そのまま家にとどまったら殺されるような状況。それで現在19歳になった伊音が、9歳の伊音を保護するために、城の絵をかきそこに閉じ込めたのだ。その絵を真が拾った。

 真、珠美、佐々野は伊音の人生を変えれば、自分たちの人生も変えれるのではと思い、伊音を救出しようとする。

 しかし、その過程で、自分たちの人生は変えられないことを知る。でも、不幸な伊音の人生は変えてあげねばと珠美は強く思う。

 そして、嵐が逆巻く城に油性ペンを持って珠美が必死に向かう。ここが読みどころ。
油性ペンで珠美は、伊音や困窮の母親たちを支援するNPOの「桜ちゃんハウス」の連絡先を書く。

 その決死の行動があり19歳になった伊音は、現在の不幸な人生を変え、高校を卒業して今は「桜ちゃんハウス」で働いている。

 伊音の人生は変えられた。しかし、真、珠美、佐々野の人生は変わらなかった。でも、新しく、力強く3人は人生を歩み始めた。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ



 
 

| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT