FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

高峰秀子   「旅日記 ヨーロッパ二人三脚」(ちくま文庫)

高峰秀子が三船敏郎と共演した「無法松の一生」が昭和33年のベネチア国際映画祭でグランプリを獲得した。この時高峰は34歳。30歳で松山と結婚するが、結婚後4年間に次々名作に出演、押しも押されぬ大女優になった。

 高峰は5歳で子役映画デビューをする。それから、おびただしい数の作品に出演している。多忙すぎて、小学校にもまともに通えなかった。だから、一般常識も覚えず、漢字や計算もまともにできないと告白する。

 しかも、東京で養母に育てられる。この養母が金に固執し、高峰の収入はすべて養母が手にいれ高峰には渡さない。こんなこともあり、高峰はぜいたくな生活を送ることができず、養母とは犬猿の仲になる。

 高峰は、ゴージャスなイメージの大女優と、無知、無教養でがらっぱちの実像との落差が受け入れられなかった。それで、素の自分をエッセイで残した。この素が、読者にはたまらない。女優高峰よりエッセイスト高峰を多くの読者同様、私もこよなく愛する。

 このエッセイ。高峰が脂ののりきった全盛時、ベネチア映画祭に出席。そのまま7か月夫松山とヨーロッパに滞在。そのときに綴った日記である。

 最初から度肝を抜かれる。ヨーロッパへゆくエアフランス機にのると、すぐにお酒と贅沢な食事がサーブされる。この量の多さに辟易とする。そして・・・

 「味も一流だが量もたっぷりで、せまい椅子に座ったきりで動きもならず、ウンチにも行けずどうしてこれだけ食べられるのか。」
 うんちなどしないのではと思われていた大女優がこんなことを書く。この作品ではウンチ、ウンコが3か所も登場する。

 今は文章はパソコンで書き、漢字は変換するから、どれも規格にはまったような同じ文章になる。しかし、この作品は手書き。ある日の日記。

 「少し寒いので小さい部やにかわる。・・・ひるにホテルからでかける。
コリガンの安うりがあってワンピースを二つ買い、前から欲しかったダンヒルのつめみがきセットを買った。
 夜はホテルで食事。部やはややましになったらしい。」

「安うり」「部や」「つめみがき」。ワープロ時代では書けないこんな文字が並ぶと気持ちがどことなく和む。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ



| 古本読書日記 | 06:39 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT