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絲山秋子     「薄情」(河出文庫)

田舎には3種類の人間がいる。ずっと田舎に住み、生涯を終えてゆく人。一旦東京など田舎をでるが、Uターンして帰り田舎に住み着く人。それから、都会など、よそから田舎に移住してくる人。

主人公の宇田川静生は、都会に出て田舎に帰った人。おじさんが神社の神主をしている。おじさんから後継者として指名を受けているが、おじさんが中々引退しない。稼ぎが無いので、初夏から秋にかけ、群馬の嬬恋村のキャベツ農家にアルバイトをしてしのいでいる。

 平成の大合併で、かって町だったところが市に繰り入れられた。しかし、市になっても、町と旧市街はくっきりと分かれる。その境には草原や畑が続き、民家は殆ど無い。

 そんなところに都会から移住してきた木工職人の鹿谷が変人工房なる工房をつくり住み着く。
鹿谷の家には、いろんな人たちがやってくる。土地の人、都会から移住してきた人、宇田川のようにUターンしてきた人。居心地がいいのである。

 宇田川の高校時代の一級下だった蜂須賀が東京から会社をやめ田舎に戻ってくる。宇田川を頼りにして、相談にきたりする。だから付き合いらしいこともする。

 しかし、ある日変人工房にゆくと蜂須賀が来ていて、その仕草から、鹿谷と恋愛関係にあることがわかる。すると、宇田川は変人工房には近付かなくなる。
 驚くことに、宇田川だけでなく今までしょっちゅう立ち寄っていた人たちも全く足をむけなくなる。

町の地の人の楽しみは噂をしあうこと。多少の真実はあるかもしれないが、あることないことを目いっぱい膨らましてしゃべりあう。そして、変人奇人を創り出し、排除の対象にする。
 こんな評判なところに出入りしているこが知れると、その人も変人扱いされるからでる。

宇田川は0を肝に銘じて生きる。せいぜい1までである。感情や想いを外にださないか、感じないようにして生きる。5や6で、行動をすると、「東京でもどりだから」と排除されるから。

 内容はデフォルメされているが、田舎生活の本質をピシっとついている。

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| 古本読書日記 | 05:58 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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