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村田沙耶香     「消滅世界」(河出文庫)

 どのくらい未来の話かわからないが、物語の時代は、夫婦のセックスは近親相姦と言われ忌み嫌われ、そこから生まれた子どもは汚れたものとして思われている。人工授精の技術が進化し、子どもはすべて人工授精によって産まれるようになった。

 人々はセックスを嫌い、セックスの対象はアニメのキャクターになる。セックス未経験、知らない人たちが殆どとなった。

 それで、物語で理解できないのは、家庭というのが人間暮らしの基盤となっている。恋愛感情が無いのに結婚をする。恋はキャラクター人形としたり、家庭の外に存在するのが当たり前となる。だから夫の恋人が家に遊びに来たり、恋人をいれて食事を楽しんでも違和感が無い時代となる。

 そして夫婦は、計画を立て、人工授精の日を決め、そこで子どもを創る。
読み進むにつれ、家庭、家族は何のために存在するのか、無理すぎと感じが強くなる。これはやはりおかしいと思っていると、とんでもない世界が提示される。

 その時代には、実験未来都市として千葉がえらばれていた。主人公夫婦は、その千葉に生活拠点を移す。

 千葉では、毎年クリスマスに人工授精が行われる。だから子どもはみんな8月に一斉に生まれる。

 主人公夫妻の妻はクリスマスに人工授精をするが、妊娠中に流産する。夫は人工子宮を植えられ、同じクリスマスに人工授精をする。そして、胎児は夫のお腹で育ちとうとう8月に子どもを出産する。

 出産された子どもをすべて「赤ちゃんルーム」に集められる。キャベツはキャベツであって、それぞれに名前をもっていない。まさに赤ちゃんも赤ちゃんであって、一切名前は無い。

 大人の女性は赤ちゃんにとってすべてお母さんであり、男性はお父さんである。子どもはすべて誕生日は同じで、バラバラの誕生日は無い。

 どんな機械装置かわからないが、クリーンルームという装置が開発され自らの状態をタッチパネルで入力すると、体の中の性欲をクリーンアップすることができるようになる。

 そういえば山田詠美の作品にも工場で子どもが生産されるというものがあった。作家には同じ未来が見えているのかもしれない。

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| 古本読書日記 | 05:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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