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高峰秀子 松山善三  「旅は道づれ雪月花」(中公文庫)

高峰秀子主演の最大のヒット作、日本映画史上でも最大級のヒット作になったのは「二十四の瞳」である。松山善三は否定しているが、何の変哲もない瀬戸内海に浮かぶ島が、瀬戸内海屈指の観光地になったのは「二十四の瞳」の影響によるのは間違いない。

 すごいのは、「二十四の瞳」は創作であり、架空物語にも拘わらず、小豆島の観光地は「二十四の瞳」により作られている。

 まずは、高峰秀子扮する大石先生と12人の子供たちの銅像ができる。除幕式にはもちろん高峰は呼ばれる。子どもが少なくなり映画の舞台に使った分校が廃校となる。その、閉校式にも高峰は呼ばれる。なんの建築物としての価値はないボロ校舎なのだが、「二十四の瞳」のロケが行われたというだけで、観光名所として残っている。今でも土産物の中心は「二十四の瞳」の文鎮や絵葉書。ロケーションの間高峰秀子が宿泊していた旅館の部屋は「瞳の間」と名付けられている。


 高峰秀子は大女優だったが、素顔ははすっぱ、がらっぱち。相手の想いなど無視して、言いたい放題。変な心使い、気使いが無いので、常識を突き抜けた表現をすることがしばしば。それが高峰のエッセイの魅力になっている。若いころ麺類が大嫌いだった。それについての表現が高峰しかできない、完全につきぬけている。

 「若い頃の私は、ソバ、ウドン、スパゲッティなど、とにかく細長くニョロニョロしたものが大嫌いだった。あんな小包のヒモみたいで味も素っ気もないものを、他人はなぜ美味しそうにズルズルと吸い込むのか、全く気が知れぬ。あの細長いものが喉を伝わり、胃に落ち込んでトグロを巻く図を想像するだけで、わたしは、ゲエ!と顔をしかめたものだった」

 そばが嫌いなことを、これ以上で表す文章をみたことはない。考えることを飛ばした、感情むきだしである。

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| 古本読書日記 | 06:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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