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住野よる    「また同じ夢を見ていた」(双葉文庫)

奈ノ花は小学生。自分は利口で、他のクラスメイトはバカだと思っている。思いのままに行動するし、遠慮なくしゃべる。だから、周りから浮き上がっている。浮き上がっているのはみんなが馬鹿だからと思っている。しかし、無視されているわけでなく、挨拶もすれば声かけもする。

 学校には友達はいないが、奈ノ花には学校の外に大切な友達がいる、いつも一緒に行動している猫。それから、アバズレと奈ノ花が呼んでいるおばさん。そして、一人住まいをしているおばあちゃん。それと、おばあちゃんの家に行ったとき、いつも二股の道を左に行ったのだが右にゆきその先のビルの屋上で出会った高校生の南さん。南さんは屋上で手首を傷つけていた。その手首には他にもいっぱい傷があった。

 実は、友達3人は、自分のようにはなってはいけない、今のままでいると自分のようになってしまうと心配している。3人は未来の奈ノ花だった。

 奈ノ花の隣の席に桐生君がいた。桐生君は引っ込み思案で思ったことが言えない。動きもとろい。ただ、見せないのだけど授業中絵を描いている。見ようとするとお尻の下に隠す。

 この桐生君のお父さんが、スーパーで万引きをする。そして、その日から桐生君は学校に来なくなる。6日後に登校してくるが、悪グループの子から「おまえの父さんは泥棒なの」と面と向かって言われる。しかし、桐生君は何も言い返せない。

 だから、奈ノ花が口角泡をとばして言う。
 「泥棒っていうけど、何も証拠がないじゃない。仮にお父さんが泥棒だったとしても、その子が泥棒なわけがないじゃない。」そんなことを言っていたら、逃げるように桐生君は学校からでてゆき、また登校してこなくなる。

 奈ノ花は学校から連絡ノートやプリントをもって、桐生君の家にゆく。桐生君は部屋にひきこもり出てこない。奈ノ花は部屋のドア越しに言う。
 「黙ってちゃいけない。戦わなくてはいけない。いくじなし。」
すると桐生君が大声で言う。
 「帰れ!奈ノ花が一番嫌いだ」と。

おばあちゃんに桐山君の態度は理解できないと訴える。おばあちゃんが言う。
「絵を描く人は、凄く繊細なんだ。傷つきやすくて、人より弱くて。でも世界がまっすぐ見えるんだ」

 おばあちゃんには若い時、恋した絵描きの恋人がいた。だけど恋人の繊細、弱さがわからず、それで別れた過去があった。

 アバズレさんは、今の奈ノ花だった。小学生の時、周りがばかだから友達にならなくてもいいんだ。だから周りも近付いてこなかった。でもそれでいいと思っていたら、いまの寂しい状態になった。

 幸せとは何だろう。奈ノ花はそこから桐生君のところに行って、ドア越しに懸命に謝った。
そして、また桐生君の絵をみたいんだと懸命に言った。

 その後2人は学校に走った。何も言えなかった桐生君がみんなの前できっぱりと言った。
「僕の幸せは、僕の絵を好きだって言ってくれる友達が、隣の席に座っていることです。」

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| 古本読書日記 | 05:57 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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