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高峰秀子     「にんげん住所録」(文春文庫)

高峰が今まで出会った人々のエピソードを綴ったエッセイ。

私も小学生のとき見たことがあるが、昭和13年作品、山本嘉次郎監督作品の「綴り方教室」。
ボロい家で、ガタガタと音をたてながらチャブ台で一生懸命作文をしている主人公を演じる高峰秀子。

 山本監督はアドリブをいれることが多い監督。
その時、「左手の甲に蚊がとまった。その蚊をピシャリと叩いてまた綴り方をやってよ。」と。

すると、助監督の男の人が大声をあげる。
「おおい衣装部の人、黒い絹糸ある?」
この黒い絹糸を前歯でピっとかみ切って、助監督は、長い指先で器用に糸をたぐり、蚊を作って、高峰の手の甲にそっと置く。

 この助監督こそ、その後世界の巨匠となる黒澤明だ。

 この後、「馬」という映画を撮った。

冬、センエキという病気にかかった馬の花風を青葉の温泉地にむけ主人公のいね(高峰)が吹雪のなかを家を飛び出す。そして、夜半、凍りつくある家に到着する。そして、疲れ果てたいねは倒れ込む。2-3回テストが繰り返された後、黒澤が神棚のろうそくに火をともし、垂れたろうを手にとり、それを高峰のまゆにぬってあげる。吹雪の凍てついた様子をだすためだ。

 当時の映画はもちろん白黒で薄暗い。それが映画で確かに映し出されるかわからない。
黒澤の発想の卓抜さと、執念を感じるエピソードである。

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| 古本読書日記 | 05:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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