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高峰秀子   「巴里ひとりある記」(河出文庫)

高峰秀子は、私が幼少の頃は映画全盛時代の銀幕の大女優で、みんなの憧れだった。
谷崎の「細雪」。木下恵介監督の「二十四の瞳」「喜びも悲しみも幾年月」など、可愛らしさが際立っていた。

 高峰のエッセイはいくつか読んだが、憧れの清純派スターが、結構複雑な家庭の出身で、不良ではないが、自己主張の強い、言葉使いも蓮っ葉で、実像はかなりみんなが想像していた高峰と異なることを知ってびっくりした。

 この作品の巻末に徳川無声との対談が収録されているが、地の高峰が満開で面白い。
「そりゃ、人間だからパチンコもやりたいしさ、なにも偉そうな顔してえばることないんだけど、まわりがさせないのよ。あたしのほうだって例えば、買い物に行ってさ、高く売られりゃ、何だコンチキショウと思うし、いやにまけてくれりゃ、相手がばかに見えっちゃたり、どっちにしたって素直になれませんよ。」

 こんなしゃべりを昭和20年代に見せられたら、ファンはショックどころか、死んでしまう人もでたんじゃないかと思う。

 この作品は、昭和26年に、仕事の多忙さにいやけがさして一人でパリ、その後アメリカ、ハワイをまわってきた7か月間の海外滞在記をエッセイにしている。

 当時は海外への旅行はまだ船旅が一般的だったのだろう。高峰の飛行機も、オキナワ、ホンコン、バンコク、カルカッタ、カラチ、ベイルート、ミニィ、ブラッセルと機体も途中で変わりヨーロッパははるか遠いところだった。

 滞在記は言葉ができないから、だいたい現地在住の日本人と行動をしているので、目をみはるようなことはおきず、それほど興味をそそられるところは無かった。

 ただ、私も経験があるが、とにかく日本との電話が遠い。しゃべって返事が返ってくるのに、1分ちかくかかる。だから、切れたのではと思い、もしもしばかり互いに言い合う。こんな場面はそうだったなあとなつかしく思った。

 高峰はアメリカに着いたとき、パスポートの不備で2日間監獄に拘留される。風呂もシャワーもあるし、シーツは毎日かえてくれる。いいところだったよとあっけらかんとして言う。

 映画で見た時より、エッセイの高峰のほうがはるかに魅力的だ。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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