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黒川博行     「燻り」(角川文庫)

小悪党が主人公となる犯罪小説短編集。「思いついた」「やってみた」「うまくいったとおもったら、更に上をいく悪党がいて、とんでもない奈落に落とされた」という話。

「燻り」とはうだつがあがらないこと。何をやってもうまくいかず、運がないこと。チンピラの意味。中味とピッタリあっている。

 澤井は空き巣専門の泥棒。何回も捕まり、刑務所と娑婆をいったり来たりしている。6年前空き巣で捕まり、8年の実刑判決を受けたが、5年6か月で仮釈放となる。出所後反省して、保護司の人が紹介してくれた工場で働きだしたが、日給6700円でいやけさし、工場勤めをやめ、元の空き巣で食いつないでいる。

 6月17日、ある屋敷に侵入。43000円の現金を拝借。そこで、家を去ろうとしていると、ドアチャイムが鳴る。宅急便である。判子を探して、荷物を受け取るとこれが商品券。
 これはついてると、商品券も拝借して家を後にする。

ある日の朝、突然警察がアパートにやってくる。20日前の6月17日の昼間何をしていたのかと聞かれる。20日前のことなど覚えていない。朝起きて、日雇い人斡旋場に行ったが、仕事にあぶれ、それからハローワークに行き、アパートに帰ってきただろう。と答える。

 ゴミ廃棄場からもらった新聞をみると、澤井が空き巣を働いた6月17日の同時刻に、ある資産家が殺害され、40万円の現金、定期預金証書や株の預かり証が盗まれるという事件が起きていたことを知る。

 また刑事がやってきて、今度は警察に連れていかれる。

そして、家屋侵入方法が澤井と同じ方法をとっていること。また、居酒屋「永楽」に澤井が入り浸っていること。さらに、大家と畳を折半で入れ替えることを約束し、6月20日にそのお金19000円を澤井が払っていること。何にも働いていないのにそのお金はどこから入ってきたのかと厳しく追及され、完全に澤井は追い込まれる。さらに宅急便の配達人に面通しされ、犯人は澤井に間違いないと言われる。

 本当に、これだけの状況証拠が揃っている、ついていないと澤井は心底思う。
 実際にこうなると、やっていないと言い続けることは難しいんだろうな。冤罪はこうやって生まれる。

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| 古本読書日記 | 06:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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