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黒川博行    「大博打」(新潮文庫)

黒川がしばしば好んで描く誘拐小説。この誘拐で犯人が要求したのが変わっていて金塊2トン。お金にして32億円相当。

 誘拐されたのが倉石泰三。アイボリーという格安チケット販売の創始者だが、72歳で西宮の老人ホームから拉致される。そして身代金要求の相手が息子の達明で、アイボリーを引き継いで社長をしている。

 この物語の進行方法が変わっている。
刑事のひとりである主人公わたしの一人称で、捜査の過程が進む。そして交互に、犯人の誘拐から身代金略奪しようとする過程が犯人一人称のおれで展開する。

 それで、捜査をする刑事の指示する川嶋がわたしをはじめとしてみんなに嫌われていて、もうひとつ捜査に力が入らないし、切れ味の鋭い刑事もおらず、だらだらとした捜査が続く。

 犯人が何をしているのか、読者はすべてわかっている。いつ、捜査陣は犯人に詰め寄り、緊迫した場面がやってくるのかと期待して読み進むのだが、とんちんかんな捜査ばかりで、いっこうに犯人に近付かない。

 それでもと想い読み進むのだが、結局犯人は捕まらず、迷宮入りとなる。

更に驚くのは、この作品で事件の真相を暴く、名探偵の役割を果たすのが、誘拐された泰三。
泰三だけが真相を知り、誰にも暴露せず墓場まで持ってゆくという決意であるから、当然事件は解決しない。

 この小説の描かれたころは、大阪府警は不祥事が次々発覚。士気は最低に落ち込んでいた。そんな府警のだらけた雰囲気がよくでていた。

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| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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