FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

和田はつ子     「恐怖の骨」(カッパ ノベルズ)

 この物語は、人間誰でも共通価値観、あるいは本能として、生きることがもっとも大切なことだということが真実なのかと読者に疑問を提示する。

 テレビ番組にもしばしば登場する有名精神科医龍本は、ピアノ演奏で天才少女と言われていた妹がいた。11歳のとき石油ストーブを誤って操作したお手伝いによりボヤが発生。
 このボヤで妹が顔半分に火傷をおい、ピアノ演奏で全く指が動かなくなった。衝撃を受けた妹は窓から飛び降り自殺した。
 妹が死んでから3年後、母が肺炎をこじらせ亡くなり。後を追うように父親も進行性癌で亡くなった。
 と、龍本は主人公の検死官に語る。

 しかし、これは真実でなく、すべて龍本が殺害していた。生きることに意味を見出せず、死ぬことが生きがいとなっている状態だから、殺したのだと龍本は言う。

 そして難病研究所の所員となった龍本は、死ぬことしか意味のない、人々に出会い、自分の信念に間違いないと確信に至る。

 それで、絶望に陥っている人に、死の直前に最高に幸せな気持ちにさせてあげられる、脳下垂体か抽出した液を注入してそのまま死んでいけるようにすることを実行する。

 身長が足らずにバスケットボールをあきらめざるを得ない人に、この液で、身長を伸ばしてあげ死なせる。拒食症で絶望状態になっている元アイドルを、どんどん食べずにはいられない状態にしたところで死なせてあげるなど。

 作品を読んでいると、生きる意味が無く、死ぬことが生きがいという人はいるのではないかと思ってしまうが、和田さんは、それは他人がかってに思い込むだけで、どんなに絶望の淵にあっても、人間は生きたいと願っているのだということを最後に物語を通して主張する。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 06:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT