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佐藤青南     「ジャッジメント」(祥伝社文庫)

私の知り合いに同い年の、かっての名門高校の野球監督をしている人がいる。練習時間も長く厳しい。だから、他の職業にはつかず、野球監督だけの収入で生計をたてている。

 彼から聞いたが、月給35万円。監督当時は子供2人は中高生で、よくそれっぽっちのお金で暮らしていけるのか不思議に思った。しかも、ベンツの高級車をのりまわしている。

 この作品を読んで、そうかと思った。選手の父兄から、多額の謝礼をもらう。高級車も実はセレブ父兄のプレゼントだった。大会のベンチに子供をいれてほしくてお金をだすのである。

 10年以上も前、巨人の原監督が暴力団2名に恐喝されて1億円を支払うという出来事が発覚した。20歳代の女性と不倫をして、子供を妊娠させていた。その女性の日記を手に入れた暴力団員が恐喝を働いた事件である。

 この物語は、原監督を思わせる、名門チームアストロスの榊監督が、川原で真夜中バットで撲殺されるという事件があり、犯人として、6年前榊監督より熱望され、長崎の島原の高校よりドラフトでアストロスに入団、しかし1軍にあがることはなく、クビを宣告された宇土が逮捕される。

 宇土と高校のとき親友だった新米弁護士中垣が、宇土の弁護にまわり、無実に導くまでの過程を描く、法廷ミステリーである。

 物語は法廷場面と、無名校の島原北高校が宇土を得て、甲子園出場まで勝ち進む過程を途中から交互に描写する方法で進行する。
 しかし、どうにもこのパラレルの描写が共鳴せず、物語を盛り上げない。
高校野球はもっと凝縮して綴り、法廷部分を深堀してほしかった。

 物語の核心は、野島という証人が、真夜中、宇土と榊監督が犯行現場である川原に向かって歩いているのを目撃したという証言にあった。

 しかし、野島は事故に遭遇し、高次脳機能障害を患っていて、視機能が機能していないことを中垣が解明して、証言は偽証だと見破ることにより解決に向かう。

 高校野球の展開描写より、なぜ、野島は偽証をしたのか、それを物語に進行過程に盛り込みミステリー要素を拡げてほしかった。欲求不満が残った。

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| 古本読書日記 | 06:01 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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