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笹生陽子    「楽園のつくりかた」(角川文庫)


  この作品産経児童出版文化賞受賞作品である。そうか、中年が選者となるとこういう作品が評価されるのかと思いいたった。

 最近、笹生さんの作品も含めて、中高生が主人公になっている作品を集中して読んだ。

 殆どが、家庭に問題があったり、クラスから疎外され、最低の学生生活を送っているのが主人公で、それに対応する周囲に問題があり、集団から逃げる子供を暖かい眼差しで見つめ周囲も主人公も勇気をもって行動せねばいけない物語ばかりだった。

 この物語は優という中学生の子が突然、田舎に引っ越し転校させられるところから始まる。
父の実家にゆくのである。母親は自然が大好きと言って、引っ越しを待ち望んだように振舞う。

 優は都会にいて、優秀で、良い学校にはいり競走を勝ち抜いて、有名大学に入りそこを卒業して大企業に就職、そこで活躍することが自己実現の姿だと思って懸命に頑張っている。

 ところが突然転校した先は廃校寸前の田舎の中学校。何しろ優のクラスには優を含めて4人しか生徒がいない。純粋に村出身の生徒は山中一人。後は都会で登校拒否をしていた子とクラスからはぶせにされていた子、田舎留学体験生だけ。

 こうなると、優は当然こんな生徒たちになじんではいけないと一緒の活動を拒否する。そして中学校のイベントへの参加は拒否して、大手予備校の模試を受ける。

 そこで、里山と衝突する。こういう物語では、大概の作家は里山の子供たちを応援し、その純粋、無邪気さを強調する。

 この物語も少し異なるが、その純真さに優が触れ、未来に成長する物語になっている。
そんなに優の生き方が否定されるべきなのだろうかと感じる。
 この優と素朴な田舎の子供たちの大きな相違を一方的に田舎よりにならず作家は突き詰めてほしいと思う。

 優が、韓国フランス シンアガポールと海外駐在をしていて、多忙で日本に帰国できない。それで田舎に行かざるを得なくなったと父親に非難のメールをする。だけど、父親はシンガポールで交通事故で亡くなっている。優は父親になりかわって「頑張れ」と自分に父親からのメールを書く。このやりとりが胸を鋭く刺す。

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| 古本読書日記 | 06:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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