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笹生陽子    「世界がぼくを笑っても」(講談社文庫)

浦沢中学校2年生のハルト。貧乏で父子家庭。母親は3歳のときメール一つで家を出て行ったきり。親父は賭け事に狂っていて、いつも負け続けている。

 ハルトが8歳、まだサンタクロースの存在を信じていたとき、
「今年はお父さんサンタさん家に来てくれるかな。」と聞くと
「サンタクロースが来てくれるかって?お前も結構幼稚なことを言うんだな。昔とちがってきょうびのサンタは簡単には来てくれないの。ボランティアにお願いするときでも、予約が必要で、登録料が500円いるの。500円払ったからって必ずプレゼントがもらえるわけではないの。あたりはずれがあるんだ」なんてことを言う。

 なけなし小使い500円を親父に渡す。
そして一夜あけプレゼントがあるかと思ったら紙切れが一枚ピローン。そこに
「次の重賞レースでほんきだす。今回はごめん  サンタより」と書いてある。

 こんなハルトのクラスに、4月から小津というダメ先生が担任として新しくやってきた。
小津先生のダメっぷりも筋金いり。

 始業式に校長より紹介されマイクを持ち、自分の紹介と決意を披露しているときに、貧血を起こし倒れてしまう。

 社会科授業で、裏の山500mの探索にバスでゆく。そのバスのなかで酔ってしまいゲロをはく。生徒を何人か引き連れ登山。下山時に道に迷い、結局消防団がでて発見。

 ハルトの家へ家庭訪問でやってくると、断りながらも親父に進められて酒を飲む。そして次の日二日酔いで学校にやってくる。

 先生は、小さいころは体が弱く殆どが病院暮らし。中学校を終えて2年後に通信制の高校にはいり4年間勉強。そして苦労して25歳で大学に入学。そこで先生になりたくて免状をとる。

 大学を終えても、なかなか先生の就職ができず、やっと代用教員として浦沢中学に赴任してきた。

 この小津先生のおかげで、ハルトは自分自身だけでなく、クラスそのものがダメクラスとして、学校中の笑いものになる。
 がっかりし、厭になる気分が蔓延しているとき、のけ者にされてきた小津先生が言う。
「バカにされたら、下をむいたり、ニヒルに笑うんではなく、思いっきり大きな声で笑え。」
先生はこのバカ笑いで辛い日々を超えてきたようだ。

 この一言で、卑屈な気持ちがふっとぶ。思いっきり笑い返した向こうに明るそうな未来がみえてきた。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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