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山田詠美    「珠玉の短編」(講談社文庫)

「珠玉の短編」というから短編を集めた作品集だと思った。その推測は正しかったのだが、本のタイトルはその短編を集めた作品の中のタイトルだった。

 主人公は小学4年生の治子。舞台は昭和30年代か40年代の初めの地方か。そこに化学薬品工場ができることになった。村は賛成、反対で二分されたが、工場長が菓子折りを持って家々を回ったため、みんな工場誘致はよかったと思うようになった。

 治子の家にも工場長はやってきた。そして、娘の美津子が治子と同学年と知り、美津子は体が弱いからぜひ友達になってくれとお願いされる。

 田舎の子供は純真。治子は絶対友達になってあげると決心する。クラスは別だったが美津子に治子は声をかけて友達になる。帰り道、美津子は治子に家に上がるようにいう。

 レースのカーテン。食べたことのない洋菓子。そしてピアノ。
 その豪華さに家に帰って母に報告する。

「そんなお家にあがってはダメよ。美津子さんはうちと違って箱入り娘なのだから。」
治子には「箱入り娘」がどういうことかわからない。でも、美津子に憧れる。

 ある日、美津子の家に行ったとき、治子は美津子は箱入り娘。うらやましいと言うが聞いた美津子も「箱入り娘」の意味がわからない。

 それで美津子は、お人形がいっぱい入っていた籐のチェストから全部の人形を放りだし、このチェストに入れと治子に命じる。治子が入ると蓋をしめ、そこにたくさんの本をおいて「箱入り娘の出来上がり」と声をあげる。

 美津子がでてもいいと言うまで、治子はチェストに入っていることにしたが。美津子が遊びに飽きてどこかへ行ってしまったとき、蓋を両手であけ、逃げ出す。

 その後も美津子は治子は私の召使と言い、籐の箱に入れて遊ぶようになる。「箱入り娘遊び」とでも言う遊びなのか。

 化学工場はその後公害をまきちらし。不況にもなり、閉鎖され、工場長と美津子はおちぶれてどこかに行ってしまう。
 あれから50年。治子は亡くなり、死体となって棺にはいる。死人の治子はつぶやく。「やっと憧れていた箱入り娘になれたわ」と。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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