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森絵都     「クラスメイツ」(後期)(角川文庫)

この作品の前に、中高生を主に扱っている作家、朝倉かすみと笹生陽子の作品を集中して読んだ。2人とも力のある作家で、中学、高校生の悩みや心の彷徨を鮮やかに描き、見事だと感心したが、私の感性が低いのか、読んでいてどうにも眠くなって読むスピードが落ちた。

 しかし、何が違うのかよくわからないのだが、森さんのこの作品は、楽しく、興奮を伴って読めて面白かった。

 クラスに田町という登校拒否の女子生徒がいる。勉強遅れを取り戻してあげねばということで数学の堤先生が、特別補習をすることになる。これを知った日向子、堤先生が大好き。
自分も補習授業を受けたいと堤先生に訴える。そして一緒に補習を受ける。
 日向子は、算数が小学校のころから大の苦手。特に円周率を表すπの文字が登場してからわけがわからなくなる。

 補習の時、堤先生に言う。
「πなんか覚えたってなんの役にたつの。」と。
先生は「マンホールの設計や製作に使うのです。」と答える。

 試験のときが、日向子の誕生日。だから日向子は、いい点がとれたら何かプレゼントと堤先生にねだり、堤先生も了解する。その時の日向子の言葉が素晴らしい。

 「先生!絶対ですよ。約束!ウチ、石にかぶりついてもいい点とってみせます!。」
中学生は、身についていない言葉を感覚でよくしゃべる。「石にかぶりついても」。このあたりの森さんの表現は、中学生の有り様をよくでていて秀逸である。

 日向子のテスト結果は、前よりは上がったが59点。
それでも堤先生は約束通り、プレゼントを日向子にくれた。

 それは「マンホール」の写真集だった。

中学生は、楽しくても、辛くても、何もなくても、いつも輝いていて無駄な日はひとつもないということを森さんのこの作品は語っている。

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