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笹生陽子   「ぼくは悪党になりたい」(角川文庫)

2つの物語の設定が突き抜けてユニークで、それに振り回される17歳の主人公エイジの行動描写がうまく表現されている。

 エイジには羊谷という悪友がいる。羊谷は超美男子。長身、やせ型、細面。さらさらとした髪にきれいな瞳。2月14日には大量のチョコをもらい、配り歩くのが大変。女性はとっかえひっかえ。だけど、少し悪で、女性のことで因縁をつけられ、ぼこぼこに殴られる。

 そして今は、ヤンキーな娘マヤと交際をしている。
その、羊谷が修学旅行に行ったあたりから、急に元気がなくなり、疲れた様子が強くなり、目の周りも黒ずんでくる。

 それに比例するように、マヤとも会話、付き合いが殆ど無くなる。何があったのか不安になったマヤは、エイジに羊谷の様子をみるようにお願いする。

 羊谷の部屋に行ってエイジは驚く。羊谷はメイド・ロボットであるチイちゃんに完全に恋してしまっていたのである。チイちゃんは、何でも言うとおりにしてくれるし、心配して優しい声をいつもかけてくれる。マヤみたいに不貞腐れたり、きつい言葉などかけてくることなど一切無い。

 このチイちゃんと朝まで愛の言葉の交歓を毎日しているので、目に隈ができるのだ。

こういうロボットは、女性とうまく関係ができない男性が利用するもの。女性にもてっぱなしの羊谷のような男性が偏愛するのはありえないのでは。

 それからエイジは8歳年の離れた弟ヒロトと母親の3人家族。母親はシングルマザーでエイジもヒロトも父親を知らない。

 母親は輸入雑貨の商売をしていて、しょっちゅう商品の買い付けに海外にいく。その間はエイジが家事をとりしきり、ヒロトの世話もする。

 そのヒロトが母親が海外出張で不在の時、水ぼうそうにかかり、熱をだす。エイジはそのとき修学旅行のため、家を空けざるを得ず、ヒロトの世話を母親の手帖にのっている、杉尾にお願いする。杉尾は過剰なほど、家事をし、ヒロトの世話をする。そして、母親が帰ってきてからも、ヒロトの家庭教師となり、家にやってくる。それを母親は嬉しそうにむかえる。

 今母親は42。杉尾が31.ヒロトが9歳だから、母親33、杉尾22のときにヒロトは生まれたのだとエイジは考える。そして、ある日決意して杉尾にこれが事実か聞く。

 すると杉尾が驚くことを言う。
「私はヒロト君の父親ではなく、実はエイジ君の父親だと。」
 何と、エイジを生んだとき母は24歳でその相手杉尾は13歳だったのだ。

 これは確かに突き抜けた発想である。

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