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村上春樹   「村上さんのところ」(新潮文庫)

村上春樹が17日間限定で、読者の質問にこたえる「村上さんのところ」というサイトを立ち上げる。その17日間にサイトが受けたメールが37,465通。このメールを全部読むのに村上は3か月かかる。そのうち、3716通に返事をだし、その中から473通を選び一冊の本にしたのがこの作品。

 このメールのやりとりを読んでいると、意外に思ったのだが、村上の回答は、実に常識的で、普通の社会人として標準的な回答ばかりだ。なぜ、そんな常識人なのに、一般の心情、風景から離れた物語を次々創造できるのか不思議に思ったが、この作品でわかったが、心に浮かぶ、情景、世界が全く我々とは異なっている。この心の世界を村上は描いているのだ。

 村上は本当のヤクルトファンだと思う。

ヤクルトのマスコットはつば九郎、つばみ、トルクーヤの3つ。かってこれに加えて燕太郎がいた。燕太郎は村上によると、オリックスとの交流戦で、オリックスのマスコットガールのスカートの中を覗き、クビになり追放されていなくなったそうだ。

  よくもこんなことを知っているものだ。

 面白いメールもある。

  村上は猫をこよなく愛することで有名。
あるメール。友達から「子猫がうまれたからあげるよ。」とのメール。楽しみにしていたら、なんと親猫が届けられる。子猫を生んでくれたから、親猫が用済みになったのだそうだ。

 この作品で村上が言っている2点について本当にその通りだと感じた。

 「ペンは剣より強し」。最近は本当にその思いが強い。ネットやSNSの発達で、直接相手とやりとりをする。相手が見えないと、相手を全否定するような強烈なメールを送る傾向になる。それで、相手を抹殺する。全くペンは強い。

 新聞の存在が薄くなった。どんどん発行部数が減ってきた。もちろんネットの発達がその背景にあるとは思うが、新聞記者が足で歩いて掴み汗の匂いのするような記事が少なくなったことも大きな要因のように思う。

 同じことは野党議員にも感じる。週刊誌や新聞で報道され、誰でも知っている情報だけを使って、政府を追及するだけ。自分で汗を流して独自情報をつかみ政府を追及する姿勢が全くなくなってしまった。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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