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山田太一    「夕暮れの時間に」(河出文庫)

  テレビドラマ史に数々の名作を送り出してきた脚本家が、紡いだエッセイ集。
 
 私は未読だが、ノンフィクション作家の渡辺一史著作の『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティア
たち』に対する山田の書評に感動した。

 進行性重度身体障碍者だった鹿野靖明さんと鹿野さんが亡くなるまで係ったボランティアの人たちとの物語だそうだ。

 手足が全く動かなくなり、下の世話まで他人にお願いせねばならない状態になると、もう生きていても仕方がない、死なせてくれとお願いする尊厳死を望む人が多いし、その思いは普通のものだとみんな考える。

 著者渡辺さんが初めて鹿野さんにあったとき、鹿野さんには人工呼吸器が装着され、手足は全く動かず、死を待っている状態だった。驚くことに鹿野さんは我が家で死にたいとして、病院ではなく、自宅にこんなすさまじい状態でいた。

 こんな状態のまま、鹿野さんは半年をかけて人工呼吸器を装着したまま、会話ができるように訓練して可能にする。

 痰が絡むと、吸引をして取り除かないと、窒息死に至る。だから、ボランティアは24時間対応、夜中には常時3-4人ついていないといけない。しかも痰の吸引は医師か看護師でないとできない。

 鹿野さんは、「申し訳ないけど」とか「お願いします」という言い方を一切しないで、「やってください」とストレートに指示する。
 鹿野さんも、いつも他人に見られプライバシーも無いし泣くことさえもできない。

 自分も気を使わず、ストレートに言うが、ボラティアの人たちにもやさしさや思いやりなど一切持たないようにさせる。それによって、ボランティアの人生も豊かになり広がる。だから鹿野さんとボランティアは完全に対等である。

 真夜中鹿野さんがバナナを食べたくなる。「バナナをください」とボランティアを起こして言う。そのバナナを時間をかけゆっくり食べる。眠くてつらいのに、ボランティアに鹿野さんは言う。
 「もう一本」と。

 こんな飾らない関係が、人間同士の熱いつながりになり、ボランティアを辞める人がでない。常時40人のボランティアの人がいたそうだ。

 人のお世話になるのは申し訳ない、動けない状態では尊厳死だと思っていた自分が恥ずかしくなる。早速書評の作品を手に取ってみようと思う。

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