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道尾秀介    「透明カメレオン」(角川文庫)

アランの人生論集にこんな文章がある。
「悠然と生命をとらえなければならぬ。大げさな悲劇的な言い回しで我々自身のこころをひきさいたり、それを伝染させて他人のこころをひきさいたり、しないようにしなければならぬ。それだけではない。すべては互いに関係があるのだから、人生のささいな害悪にたいして、それをみせびらかしたり、誇張してはいけない。他人にたいしても親切にすること。ひとの生きるのをたすけ、自分の生きるのを助けること、これこそ真の慈愛である。親切はよろこびだ。」

 主人公の恭太郎は、魅力のボイスを持っているが、容姿は冴えない。その声を生かして夜のラジオ番組「1upデイ」でディスクジョッキーをしている。その恭太郎が、ある雑居ビルにBAR「IF」の案内板をみて、何も看板はないのだが、扉をあけて入る。

 そこは実に重苦しい空気が流れていた。でも、どうしてか、普通ならとても行きつけになるような店では無いのだが、次の日もまた次の日もでかける。

 その店にいるのは、百花さん、石乃崎さん、重松さん、ママ、レイカさん。恭太郎は店の人たちに過去起こった出来事を番組でしゃべる。しかし、それは店名「IF」のように、もしあそこで、こうしていたらこんな楽しい結末を迎えただろうという嘘話。現実はどれもとんでもない不幸な結末を迎えてしまっていて今はどん底に落ちてしまっている。

 店には絶対他の人はやってこない。そして、恭太郎自身も兄弟、両親を最近事故で亡くしてしまうという、悲劇に出くわし、心底参っていた。

 だから、その重苦しい雰囲気に浸りたくてでかけてしまう。
 そんなとき、他の5人は、恭太郎を驚かしたり、励ましてやろうといつもイタズラをしかける。

 その店に、最も辛い不幸せに直面していると思わせる、三梶恵が飛び込んでくる。不幸の元である男に復讐をする三梶の計画に恭太郎をはじめ5人が協力する。

 その原因が、普通はそこまでしないだろうと思われるような内容。だからしっくりいかないまま読むと、最後にそれぞれの持っている不幸が明らかにされる。

 それでアランの言葉とともに、なるほどと八方破れの行動に納得する。

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| 古本読書日記 | 05:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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