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今谷明    「歴史の道を歩く」(岩波新書)

山歩きのベテランであり、歴史家の著者が、史実に思いを馳せながら、歴史の舞台となった、険しい山道をたどった歩行記録。
明治の輸出産品の三分の一は生糸だった。だから生糸生産は国の屋台骨を支えていた。その最大の生産地が長野県の諏訪にある岡谷。そして、その糸ひき女工としてやってきたのが、飛騨高山地方の最も若い12歳から13歳を先頭に20歳くらいまでの女性たち。

 この飛騨高山から信州に至る道で超えるのが野麦峠。

飛騨高山から両親や兄弟に連れられてやってきたほとんど少女のような女工たちは野麦峠にある旅館にたどりつき、そこで家族に励まされ、もう会えないのではという辛い別れをして、岡谷の製紙工場から案内人としてやってきた男たちに引き取られ、そこから何とまだ7つの峠を越え、歩いて工場までやってくる。

 そして逃げられないように鉄柵で囲った工場で1日13-14時間殆ど休憩なしに糸ひきをする。多くの女工が結核で倒れ、亡くなった。

 著者である今谷は、この女工たちがたどった古い道を長野県側から岐阜県側に歩いてたどる。
 細い峠道と山並み斜面をトラバースして、今谷は野麦峠に到着する。そこに建てられた女工みねの肖像にふれ、山本茂美の「ああ野麦峠」を感慨深く思い出す。

 結核で倒れ、工場まで妹みねを連れにやってきたみねの兄。みねを背負って野麦を越えようとする。そのとき峠でみねが「飛騨がみえる。」といってこと切れる。

 たくさんの女工の悲劇がみねの悲しい言葉とともに、ぐっとせまってくる。

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| 古本読書日記 | 06:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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