FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

貴志祐介    「悪の教典」(上)(文春文庫)

晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はイケメンでさわやかな弁舌、生徒だけでなく、PTAや同僚教師からも信頼され、憧れの存在だった。
 しかし、本来の姿は、他人を理解しようとせず、ひとりよがりで、全く共感心情を持たない、冷たい人間だった。

 蓮実が14歳のとき、熊谷先生が亡くなる。そのとき、蓮実が外出をしていたので、息子を疑った両親が相談していたところに帰ってきて、両親を刺し殺す。そのとき、蓮実が凄いのだが、自分の背中を刺し、血まみれになって強盗に襲われたと騒ぎ、警察捜査から逃れる。

 これをきっかけにして、次々人殺しを行う。頭脳明晰で、同じ殺し方をしないから、一度も疑われることなくきりぬける。何しろ物語によると、町田高校転入前までに30人を殺しているというからまさにサイコキラーである。

 この学校赴任前の学校でも4人の自殺者がでているが、それも蓮実の殺人である。蓮実の完全犯罪はその卓抜した頭脳からできているところもあるが、殺すということに全く心の揺れ動きが無く、バッサリと刺し殺し、平然としているその態度にもある。

 この上巻でも、蓮実と生徒である安原美禰に体の関係がある(実際にあるのだが)と疑っている真田先生を飲酒運転を装わせ女性を轢かせ、学校を懲戒免職にさせる。モンスターペアレントである清田を、家に並べて灰皿代わりに使っていた水がはいっているペットボトルの水を灯油に変え、家を全焼させ殺す。

 同じく前の学校の4人の自殺は蓮実が殺したのではと疑っている数学教師の釣井を電車の中で首つり自殺にみせかけ殺害。

 カンニングを邪魔されたと蓮実に恨みを抱いている早川を殺害し学校の庭に埋め、失踪とみせかける。

 殺すということに精神的ハードルが低く、ほんのちょっとのことで殺しを行う蓮実に読者を驚愕させるが、冷静になって最近の惨殺事件を振り返ると、蓮実のような人間は架空の創造物ではなく、現実に存在していると思いぞくっとする。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ



| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT