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三崎亜紀      「手のひらの幻獣」(集英社文庫

読みこなすのが結構難しい作品。相当集中して読んでいないと、何が書かれているのかわからなくなり、その都度前に戻って読み直さないといけない。集中力が最近とみに無くなった私には辛い作品である。

 10万人に1人という割合で特殊能力を持つ人間がいる。特殊能力というのは、心の中にある動物のイメージを具体化し、そしてその人間の姿形がイメージした動物になり現実の世界に表出する能力。

 普通は表出した動物は、表出を解くと消えてなくなり元に戻るのだが、超一級の表出者がいて、この表出者が、自らのあらん限りの力を使い生み出した存在を表出実体と呼び、それは表出者の命と引き換えに生まれ、想像がつかないほどの破壊力を持つ動物となる。

 この表出実体は、イメージを解いても消えることはなく、存在しつづける。

戦前は、人体実験施設で、この表出実体を武器に使おうと生み出す実験が行われていた。しかし、出来上がった表出実体が、味方の軍艦や潜水艦を覆われている特殊合金製の檻をくぐりぬけ、破壊してしまうため、軍隊が出動して、表出実体を破壊したことがあったという伝説が語られている。

 戦後は表出実体を創造することは法律で禁止された。それで、表出者は全国の動物園に派遣されて、動物に変換して動物園での見学物になるだけの存在になっていた。

 ところが、戦前に生まれた表出実体に冷凍保存がされていたものがあり、これをまた武器に転用しようと、同盟国の指示により、解凍しようとする新たな施設が創られ、実験が行われるようになった。

 解凍された表出実体が、外にでて社会破壊を起こさないように、この施設の安全管理に表出者である主人公日野原柚月と高畑が任命される。

 柚月が属している会社の社長はけた外れの能力を持つ表出者だった。しかも凍裂という特殊な破壊力を持っている。そして、柚月と交わりをしたことがある、柚月が愛する大切な人だった。

 解凍の研究所の開所式に、この施設の社長(実は柚月の社長の妻)は解凍した表出実体を来賓者の前でお披露目をしようととんでもないことを考え実行する。しかも、禁止されていた並列表出という技術を使い2体表出させる。

 そうしてこの2体が当然暴れ出す。この2体に対し、社長が凍裂の能力を駆使して対決する。
 この戦闘場面が物語のクライマックス。果たしてどちらが勝ったのか。怖くて柚月が目が開けられないところで物語は終わる。

 作者、三崎が言う。
私たちは制限された檻のなかで人生を送る。もし、その檻を打ち破った世界はどんな世界が現れるのだろう。それを柚月に挑戦させ、眼前に提示させようとする。図書館の本が意志をもって暴れまわったりする。この後続きの作品で柚月を借りて三崎は檻を破った世界がどんな世界か、読者に描いてみせてくれるのだろう。期待いっぱいではあるが、老年の私ではついてゆけない気がする。

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| 古本読書日記 | 06:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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