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山本甲士    「はじめまして、お父さん」(双葉文庫)

福岡に近い地方都市に住み、売れないフリーライターをしている主人公白銀力也のところに、かっては売れっ子俳優で、引退してからは居酒屋チェーンを起こし大成功をなした合馬邦人から、
「居酒屋チェーンの経営を退き、バハマに移住をしようとしているが、移住前に4人の人に会っておきたい。それに白銀力也に同行してほしい」
との依頼が舞い込む。

実はこの合馬は昔女優をしていた力也の母親と過去愛人関係にあり、そこでできた息子が力也、つまり合馬は力也の父親である。母親は合馬がテレビにでる度に力也に「卑怯者の顔をよく見ておきなさい」というのが口癖だった。

会いたい4人。

 一人目は石原美樹。合馬のマネージャーだった女性。合馬が追突事故を起こしたとき、身代わりにさせた。しかし、嘘がばれて合馬が俳優を辞めねばならなくなった。

 二人目は合馬が愛人に産ませたが、発達障害を患っている井戸浦良。十代半ばのときに宿泊していたホテルに合馬を訪ねてきたが、追い払ってしまった。

 三人目は市川。居酒屋チェーンの店長として頭角を表すが、合馬の盟友だった専務と対立。合馬は市川の主張が正しいと思ったが、専務に迎合して市川を追放する。

 四人目は小学生の時、無理やり急坂を自転車をブレーキをかけることを禁止して降下させ、足に致命的なケガをさせてしまった曽根。

 合馬は、この4人に心から謝罪し、その償いとして一千万から二千万円のお金を彼らに渡そうとする。
 しかし登場する4人は、お金持ちとは決して言えないが、希望を地道に実現しつつ心豊かな人生を送っている。謝罪だけでいいと言う人もいれば、合馬の勝手な思い違いもあったりして、すべての人からお金の受け取りを拒否され、強烈なショックを受ける。お 金が幸せの土台であり、お金が最も大切という彼の信念が破壊される。

 4人目の曽根のエピソードが胸に沁みる。
「交通事故で人をはねた。50代の女性で、けがで足に後遺症が残った。その女性を見舞いに行ったとき、あなたが懸命にブレーキをかけてくれたから命拾いをした。本当にありがとうと言われた。」

 本当に人間というのは、同じことでも物の見方考え方は違うと心底思った。

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| 古本読書日記 | 06:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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